衛生・環境・健康をテーマに社会課題の解決に貢献するサラヤが、2025年の事業方針を発表した。小売の窓口であるコンシューマー事業本部は、同社がプロの現場で培ったノウハウを活かし「お客様に感動をお届けする」ことを基本方針に掲げる。来年は「熱中症予防」市場に参入するほか、新ブランド「サラヤスマイルズ」を立ち上げ「介護」市場を深耕するという。また自然派甘味料「ラカントS」の発売30周年を記念したプロモーションも強力に展開していく計画である。(取材と文=八島 充)
サラヤは11月14日、都内で「2025年方針説明会・新商品発表会」を催した。集まった取引先ら191人を前に、更家悠介社長が事業の歴史と今後を話したのに続き、取締役コンシューマー事業本部本部長の山田哲氏が事業方針を、ブランド統括部統括部長の水越由利子氏が商品の紹介をおこなっている。
冒頭の挨拶で更家社長は、「当社はSDGsの活動を通じ、事業・環境・社会の “三方良し”を目指しているが、近年その調和が乱れていると感じる。水も空気も我々も地球上の全ては繋がっている。それを一企業あるいは国単位で捉えるのでなく、『地球市民』として考え行動することが大事だ。かの二宮尊徳は『経済なき道徳は戯言、道徳なき経済は犯罪』と言ったが、我々もここにお集まりの皆さんと一緒に、『道徳のある経済』を実践していきたい」と語っていた。
山田本部長は、コンシューマー事業本部の2025年基本方針「お客様に感動をお届けする」を実現すべく、医療や食品衛生等、プロの現場で培ったノウハウをコンシューマー事業に活かしていくと宣言し、衛生・環境・健康それぞれの方針を伝えた。
衛生では、「エビデンスベースの感染対策」により基幹カテゴリーの深掘りに努めつつ、介護衛生カテゴリーの開拓に着手する。介護の新ブランド「サラヤスマイルズ」を立ち上げ、「介護する側、される側の双方に寄り添い支えるブランドとして育てていきたい」(山田哲本部長)と話していた。
環境では、量産化に成功した第三世代の界面活性成分=バイオサーファクタントの「ソホロリピッド(以下ソホロ)」を用いたラインアップを強化する。同社のソホロはすでに再生医療や汚染土の除染に活用されているが、来年はその安全性と手肌にやさしい特徴を活かしたヘアケアやボディケアの商品を提供するという。
また健康では、「熱中症予防」にスポットを当てた商品を展開する。「熱中症で救急搬送される患者は増え続けており、まだまだ課題解決の商品が足りていない。ここに、新たな切り口を用いて参入する」(同)としている。
山田本部長の事業説明を受けて、水越部長は2025年に先行発売するの新商品・注力商品を紹介した。
自然派甘味料「ラカント」は、来年の発売30周年を迎えるにあたり、「人生を彩る甘さで幸せを」というブランドメッセージを発信。パッケージに30周年の記念ロゴを入れるとともに、消費者とのコミュニケーションを強化する。同じく30周年を迎える人気漫画のキャラクターとコラボした販促も計画している。
熱中症予防にスポットを当てた新商品は、熱帯夜対策サポートドリンク「ノマナイトウォーター」と、しょっぱくない塩タブレット「しおまる」の2品。
「ノマナイトウォーター」は、就寝時に起きやすい夜間熱中症の予防を念頭にした紙パック飲料。水分をゆっくり吸収する特徴を持つパラチノースを配合し、就寝中に失う水分を寝る前に補給できる仕様とした。
「しおまる」は、体液バランスの維持に必要なナトリウム(Na)を、食塩(塩化ナトリウム、NaCl)ではなく重曹(炭酸水ナトリウム、NaHCO3)に置き換え、そこにクエン酸を加えたタブレット。食塩量を既存品の半分にして塩味を抑え、クエン酸の酸味が口の中でひんやりと広がる味わいとした。「美味しくない」という理由で摂取したらがらない子供にもおすすめの商品となっている。
介護カテゴリーの新ブランド「サラヤスマイルズ」からは、消臭ケアの「おむつの消臭袋」と「泡洗浄剤」を先行発売する。
「おむつの消臭袋」は素材に消臭成分を練り込み、キャッチしたニオイそのもの消すのが特徴。水越部長は「肉体的・金銭的な理由のみならず、ニオイは介護する方にとってデリケートで大きな悩み。当商品の上市によって、介護の世界からそうした悩みを無くしたい」と話す。
また「泡洗浄剤」は、肌の天然保湿因子であるアミノ酸15種類以上を配合した洗浄剤で、皮膚に負担をかけることなく、しっかりと汚れを落とせる仕様となっている。
なお、上記商品の詳細は発売のニュースが届き次第お伝えする。
その後、取締役コミュニケーション本部本部長の代島裕世氏から、2025年大阪・関西万博に関する案内があった。
更家社長が理事長を務めるNPO法人、ゼリ・ジャパン(ZERI JAPAN)が出展するパビリオン「ブルーオーシャンドーム」内のイベント等への応援参加を呼びかけ、「海洋にまつわる世界的な課題の解決を目指すZERI JAPANの活動に是非ともご賛同いただき、貴社のSDGsアクションを全世界に発信していただきたい」(代島本部長)と語っていた。