私たち薬剤師は、薬剤師法第一条に掲げられているように公衆衛生の専門家としての役割を担っています。調剤や医薬品の供給等、医療を適正に届けるために病院や薬局でくすりを渡すだけでなく、患者の相談を受けることもよくあります。
例えば、痛みの相談や眠れない、便秘など、医療用医薬品だけでなく、OTC医薬品等で対応できるような内容も挙げられます。相談を受ける薬局・薬剤師の役割として「全科対応」であることは大きな強みとなっています。
よくある相談の一つとして、特に妊婦さんや高齢者では「トイレの回数が以前より多くなった」という声を聞きます。或いは介護をしている家族から「トイレに行きたいと頻繁に言われるのだけれど、トイレに連れて行っても出なくて・・・」という相談もあります。膀胱の中に尿がいつ、どのくらい溜まっているかを「見える化」出来ることは、医療・介護の関係者にとって最大の課題でした。自分や介護者が手軽に膀胱に溜まっている尿量を知ることが出来れば、その後の対応策にも繋がります。
例えば尿がたまる時間を把握することで安心して外出できる、或いは尿取りパッドの選択など、日常の暮らしがスムーズになるきっかけになります。何年も前から尿量の可視化が出来る製品はいくつかありましたが、最近では手軽に尿のたまり具合が判り、適切なトイレタイミングの予測が出来る製品を見つけました。これが株式会社リリアム大塚の「リリアムスポット2」です。
リリアムスポット2は、ちょうど片手で握ることが出来る棒状のコンパクトな大きさの製品です。超音波ジェルを塗って恥骨に充てボタンを一つ押すだけで、膀胱内の尿のたまり具合を測定することが可能です。測定する際には音声ガイダンスがあるので、初めてでも安心。医療機器ではないので、本人や家族など、医療従事者ではなくても使用することが出来ます。尿のたまり具合は10段階の目盛りで表示され、トイレのタイミングが可視化できる仕組みになっています。
ご家庭だけでなく、介護施設などでも気軽に使うことが出来、とても役に立つ製品だと思っています。実際にお使いになりたい方は、短期貸し出し(有料)もありますので、体験してみると自分の「トイレタイミング」に出会えるでしょう。生活のお困りごとの解決方法として「リリアムスポット2」を取り入れて、安心できる暮らしに少しでも近づくといいですね。
次回以降も、このページで様々な患者のつぶやきに対応できる製品を、臨床介護学の立場からお伝えしたいと思います。
(つづく)
リリアムスポット2にご興味を持たれた方へ。
以下のURLをクリックしていただくと詳細がご覧になれます。
https://www.lilium.otsuka/lilium_spot2/main/
(薬剤師の役割)第一条:薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
小原 道子さん プロフィール
<主な学歴>
1989 東北薬科大学薬学部薬学科卒業
2020 岐阜薬科大学 博士「薬学」取得
<主な職歴>
1989~仙台赤十字病院入局
1995~宮城県栗原地区にて在宅訪問薬剤師業務を開始
2009~ウエルシア関東(現ウエルシア薬局)株式会社入社
2017~岐阜薬科大学地域医療薬学寄付講座 特任教授
2019~日本ヘルスケア協会理事(現任)
2021~帝京平成大学薬学部 社会薬学教育研究センター 実践地域連携ユニット教授
帝京平成大学大学院 薬学研究科薬学専攻教授(何れも現任)
2021~日本臨床栄養協会 評議員(現任)
2022~日本口腔ケア学会 評議員(現任)
2022~日本老年薬学会 評議員(現任)
著書:地域包括ケア タネの撒き方・育て方
専門分野:在宅医療、地域包括ケア、臨床介護学