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クローズアップ企業「太陽化学」④ IDT工場の価値

クローズアップ企業「太陽化学」④
IDT工場の価値
エビデンスと安全性を担保しながら
スピーディに製品を世に送り出すIDT工場



これまで3回の連載記事にわたって太陽化学を紹介してきたが、今回は同社が誇る最新の工場である「IDT(Intelligent Design & Technology)工場」にクローズアップしたい。IDT工場は、太陽化学が本社を構える三重県四日市市に所在し、2023年11月に本格稼働したばかりの工場だ。同社独自の機能性素材を中心に、製品企画〜機能性届出~製造〜納品までワンストップで対応できる強みを持つ。企画段階より製品化をIDT工場にて対応することで、よりスピーディに製品を世に送り出すスキームを確立したことになる。(取材・記事=佐藤健太)


連載1〜3回はこちらから
https://hoitto-hc.com/tag/太陽化学クローズアップ/


IoTなどの先端技術を導入したスマート工場


太陽化学が、2023年11月に稼働開始したIDT工場は、“IoTなどの先端技術を導入したスマート工場”というコンセプトを持っており、最終製品と顆粒原料の製造供給に対応する。製造ラインにはスティックから大袋に対応する自動充填機が導入されており、これに加え、自動包装ラインでのパッケージングや画像認識による全品検査、パレタイズまで自動で行い、マンパワーを削減しながらスピーディーに製品供給する仕組みを現実のものにした。


“IoTなどの先端技術を導入したスマート工場”であるIDT工場


かつては最終製品を作る際、素材の調達や製品企画は自社で対応しつつも、それ以降の作業は外部に委託し、通常は原料搬入〜造粒〜充填という行程に1ヶ月ほど要していた。だが、これをIDT工場で内製化することで、場合によっては1日で終わってしまうケースもあるというから驚きだ。

太陽化学は「リードタイムの短縮になることは稼働前から予想していました。ですが、実際に1日で作業完了してみると、顆粒の潰れが少なくなり、より高品質を保ったまま最終製品化できることに気づきました。これは取引先さまひいてはエンドユーザーさまにとっても大きなメリットになると考えています」と明かした。速さだけではなく、品質アップにもつながっているのがIDT工場の特徴でもある。


独自素材を組み合わせたオリジナル製品にも対応


またIDT工場の強みは、最終製品においてはスティック包装に特化しているものの、同社が保有する「グァー豆食物繊維」や「L-テアニン」「鉄」などの素材を組み合わせたオリジナルの最終製品を製造できるという点だ。

同社は「太陽化学が長年培ってきた粉体加工技術に加え、当社は機能性表示食品・スポーツニュートリション等に求められている各種認証取得や、機能性表示関与成分の分析等のサポートにも対応しています。製品の企画提案から製造・納品まで一貫したトータル的なサポートで取引先さまをバックアップしていきたいと考えています」と話す。

同社によるグァー豆食物繊維(機能性関与成分:グアーガム分解物)は、「腸まで届き善玉菌(ビフィズス菌)を増やして腸内環境を良好にする」などの腸活訴求、「糖の吸収をおだやかにし、食後血糖のピーク値を抑える」、L-テアニンは「起床時の疲労感や眠気を軽減」と「ストレスをやわらげる」と機能性表示食品の届出が受理されており、当然ながらIDT工場で作られる、これら素材も機能性関与成分として活用できる。

現在ドラッグストア企業各社は、積極的にPBを中心としたオリジナルのストアブランドの開発に取り組んでいるが、目前にはNBや他社PBとの差別化という高いハードルが待ち受けている。そこでは単一の素材で勝負するのではなく、素材を組み合わせることで独自性を持った製品を生み出すことが重要であり、IDT工場が持つ技術を活かしつつ、同社独自の素材の組み合わせることで、よりユーザーのニーズに寄り添える製品を、スピーディーかつ高品質、安全性を担保した上で開発することができる。

実際にIDT工場で製造されたグァー豆食物繊維の製品が一部の大手ドラッグストアから採用されており、ストアブランドとして販売されている。胃腸関連のOTC医薬品や、腸活関連製品とのクロスマーチャンダイジングによって、買い上げ点数アップに貢献し、リピート率も好調に推移しているという。他のドラッグストア企業も活用を検討したいところだ。

また、ヘルスケア業界には独自の乳酸菌やビフィズス菌を持つ企業が多く存在する。こうした乳酸菌・ビフィズス菌とグァー豆食物繊維を組み合わせ、シンバイオティクスを訴求点としたオリジナル製品を作り出すことも可能だ。IDT工場では他企業では扱い難い生菌も扱うことができるよう設計されており、従来製品化を断念していた企業にとっても有益な情報だと思われる。
自社が保有する菌に、太陽化学のエビデンスと安全性が担保された素材と技術を掛け合わせることで、独自性と利便性といった付加価値が生まれ、よりユーザーのニーズに合致した製品提案が実現する。


自社スタッフの意識変容のきっかけにも


IDT工場は社外だけではなく、社内においても良い影響を与えたという。IDT工場によって、エンドユーザーに届けられる最終製品を手掛けることで、現場で働く自社スタッフ一人ひとりの意識にも変化が生まれた。

例えば、包材のデザインに向けた意識。「これまで原料販売が中心でしたので、包材のデザインまでに意識が湧きにくかったのですが、最終製品を製造するようになった今、『この製品をお客さまが手に取ってくださったとき、どんな感想を持つのだろう?』と考えられるようになり、ものづくりに対するこだわりや想像力が生まれたのは、とても大きな変化だと思います。また、『自分たちが作り上げたお客さまの健康に携わっている』という意識も芽生え、社員の教育にも貢献しているように思います」(同社)。

このように、IDT工場は社内外における太陽化学の可能性を引き出すトリガーとして大いに期待されており、同社とのコラボレーションはドラッグストア企業やヘルスケアに関与するメーカーなどにとっても大きなメリットがある。