オクラが機能性表示食品になったーオクラに含まれるポリフェノールや葉酸、食物繊維に着目し、有限会社のエールが開発した鹿児島県指宿産のオクラ100%のオクラパウダー『オクラエール』が、食事に含まれる糖の吸収と食後に上がる血糖値を抑える機能が報告されている機能性表示食品になった。ネバネバ食品として体に良いイメージのオクラが原材料の機能性表示食品は初めて。「すでに調剤薬局チェーンから取り扱いたいとの要請がきて取り扱いがはじまっています」と語る開発元の有限会社エール代表取締役の倉本哲さんに商品化のきっかけと今後の普及について聞いた。
「オクラは、英語のOKRAからの外来語で原産地は北東アフリカ。古くはエジプトで13世紀に栽培された記録があり、その後、亜熱帯地域に伝わりました。南方系の食材であるオクラは、夏のオフィシャル制服はアロハシャツ、フラダンスのフェスティバルも開催される指宿市の温かい気候とベスト・マッチし、日本最大の生産地となっています」(倉本さん)
オクラといえば、納豆のようにかき混ぜるとネバネバ状になる。このネバネバが体に良いイメージがあるが、オクラをインターネットで検索すると、料理のレシピや美味しい料理の作り方などが出てくる。そこで“食と健康”の結びつきが話題になる中、エールの倉本さんは、このオクラの食べ方を工夫した。
「パウダーにすれば、水に溶けるのでドリンクとして毎日健康のために愛用できるし、ヨーグルトにもかけて食べることもできる」として開発したのがオクラパウダーだ。スプーン1杯(4g)でオクラ5本分だという。
エールの創業は1991年9月。社名は、取引先の方々にエール(声援)を送りたいという想いで、先代の社長がネーミングしたという。もともと電子部品の製造・加工業を営んでいたが、鹿児島県の指宿がオクラの生産量日本一であることを踏まえて、オクラの新しい食創造をビジネスにして普及に力を注いできた。
同社は、単なる食品素材としてだけでなく、「ネバネバが体に良いようだ」として食生活で愛用されることもさることながら、オクラに含まれているポリフェノールや葉酸、豊富な食物繊維に着目して、指宿市と地元の大学に生産者も加わり機能性の評価をはじめ、オクラパウダーを原材料に、今年3月、オクラでは第1号の機能性表示食品を開発した。
「指宿がオクラの生産量日本一であっても、すべてが出荷されるわけではなく、中には曲がっていたり傷があったり、市場に流通するには大きく育ったりと、産地ならではの問題がありました。そこで当社では、有効活用とともにオクラの機能性に着目して、人々の健康作りに貢献したいとの思いでパウダーを開発しました」と商品化に至るまでの道のりを話す倉本さん。
同社が開発した機能性表示食品は、『オクラからのエール』とネーミングされた。関与成分は、鹿児島指宿産オクラ由来の水溶性食物繊維。通常事は、糖が小腸から血管などに素早く吸収されてしまうのに対して、水溶性食物繊維の摂取時には、「糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇が緩やかになる」ことから、同製品は、「オクラ由来に水溶性食物繊維は、食事に含まれる糖の吸収を抑えて食後に上がる血糖値を抑える」機能が報告されているとして今年3月に届け出た。
「機能性食品の原材料はオクラ100%のオクラパウダーで、小さじ1杯で葉酸、食物繊維が手軽に摂取できるのが特徴です。お茶として、うどんやそば粉のつなぎにも利用できますし、パウダーの用途は幅広いので、今後、様々なルートで活用していただければ…。そのためにもオクラの持つ機能のエビデンスを産学協同で研究していただきました」(倉本さん)
機能性表示食品『オクラからのエール』の販売は、自社ルートをはじめ商社、生協以外に、調剤薬局チェーンからの引き合いがあったという。
「オクラに含まれているポリフェノール、葉酸、食物戦にといった栄養素が含まれているオクタパウダーに注目していただき、他店との差別化商品として取り扱いたいとオーナーから連絡がきました」と話す倉本さんは、今注目の『もったいない』(SDGs)にも共鳴したこともオクラパウダー開発のきっかけにもなった。
機能性表示食品やオクラパウダーを活用したお茶のほかにオクラ種子エキスを配合した化粧品、泡マスクなども製造している同社だが、食の観点から妊婦が安心できる出産育児環境の創出のために取り組んでいるマタニティフード協会(MFO)に加盟して、マタニティフード商品に『オクラパウダー』、ノンカフェイン、ポリフェノール、食物繊維が含まれている『とろリーおくら茶』が認定されている。
「認定商品は、厚生労働省が示している妊娠期間の食事や栄養摂取の基準、管理栄養士が監修し設置された基準に基づいて管理栄養士・助産師が査定し、妊婦に向けて準備を行っている時期及び妊娠期から授乳期にある母体に配慮した食品です」(倉本さん)
「オクラのリーディングカンパニーとしてヘルス&ビューティ市場へ新たな素材として提案していきたい」として、ヘルスケア関連用品の最前線のドラッグストアにも販路を広げたいと倉本さんは話していた。