
薬剤師は、「薬のプロ」。薬の常識、情報を持っていて当たり前です。4年間ないしは6年間薬剤師になるために勉強をしてきたのですから。
代謝酵素、相互作用…医師とは異なる視点から薬剤師は患者さんを見つめなくてはいけません。と、散々教えられてきたはずです。
昔は、プロと素人では、圧倒的な情報量の「差」があったように思いますが、現在はどうでしょうか。ネット環境の普及により、ちょっと調べただけでも、これでもかという情報が溢れかえっています。昔では一般の方が見ることはほとんどなかったであろう添付文章や文献も、今では簡単に見ることができます。ですが、一度止まって考えていただきたいのは、その情報の真意。
注目されているAI、ChatGPT、正しく使えばとても便利な機能です。しかし、現在の時点でAIはまだ平気で嘘をつきます(今後に関してはわかりませんが…)。間違った情報を伝えてくることも少なくはありません。薬剤師に求められていることは、溢れる情報から、正しい情報をしっかり見極め、その人その人にあった情報を提供する情報評価能力ではないでしょうか。
薬剤師は薬に対して、誰よりも詳しくなくてはいけませんが、実際にその薬を使用している人にしかわからない事があるのも事実です。実際に服用している方の意見はとても大切な情報源だと思います。店頭で会話をする中で「飲んでみていかがでしたか?」「〇〇味と記載されていますが、実際はどうでしたか?」「この薬、開けにくくないですか?」など、服用中の方に直接聞いてみると色々な意見が聞けて、とても面白いです。
もちろん飲める薬は実際に飲んでみる。軟膏、目薬、貼付剤。使えるモノは使える時には使ってみます。実際に使ってみると「想像とちょっと違うな」と、感じることも多くあります。
味について限定すると、同じ薬でも、その人その人で、味の捉え方に違いがあります。そんなの当たり前でしょ。と言ってしまえば当たり前の事ですが、実際に飲んでいる方の意見は本当に人それぞれです。
ヨーグルト味。人によっては「甘い乳酸菌飲料」をさし、別の方にとっては「酸味のある飲むヨーグルト」をさすこともあります。また、イチゴ味も「かき氷のイチゴ味みたいで美味しい」とおっしゃる方もいらっしゃれば、「人工甘味料みたいな味で不味い」という方もいらっしゃいます。味の感じ方は、年代も関係するように思います。
子どもに関しては、薬の味は服用するにあたって大きな壁となることもあります。子どもに服用させてみて飲ませやすかったか、飲ませにくかったかを尋ねておくことで、次の患者さんに役立てることが出来ます。もちろん、ネットには、この薬はこれで飲みやすくなります。という情報が溢れています。でも、実際は…?同じ味でも、感じ方は人それぞれ。というのも…「チェリー味で美味しいですよ」と伝えた薬、私は美味しいと思ったの!でも「海外のお菓子みたいで不味かった」という子ども。そうか…(笑)
薬剤師は情報提供という考えから説明にばかり集中しがちですが、実際にその薬を使用している方に、こちらから薬の事を聞く、患者さんから教えていただくこともとても大切で、そこから得た情報を、次の方に活かしていくことが薬剤師としての経験に繋がるのかもしれません。

2025年11月30日 天気の良い日曜日
私の最愛の母、堀美智子が永遠の眠りにつきました。
最期の瞬間、私は母が横たわるベッドに身を寄せ、横向きになる母の背中に顔をうずめ、最後になるであろう母の香りと母のぬくもりを全身で受け止めていました。
弟はベッドサイドで椅子に座りながら母の手を握り、父はベッド横のテーブルで、毎月、月末に行う「薬局ニュース」の配信の準備をしていました。母が、最後まで情熱を傾けた仕事に穴をあけることは絶対に出来ないと、母の最期も父は母の薬剤師としての生き方を尊重していました。
「私が亡くなったら、紗耶華の書く文章で、私が亡くなったことをみんなに伝えてね。」と母から言われていたので、私は母の最期をFacebookに投稿し、その投稿を目にした流通シャーナリストの山本武道さんが「日々の調剤業務とお母さまとの思い出を書いてみませんか?」とお声をかけくださいました。
ここでは、私が日常で感じたことや心に残っていることを綴っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
母の薬剤師としての想いは、永遠です。そして、私の母へ対する想いも永遠です。
想いを残す場を与えてくださったHoitto!ヘルスケアビジネスの方々に心より感謝申し上げます。
母は「知りたい‼」という意欲がとても強かったように思います。それは、薬のことだけに関わらず、日々の生活でもそうでした。新しいお店の開拓、新作と聞けば食べてみたいという衝動にかられる母。もちろん流行にも敏感でした(特に「食」について:笑)。私はどちらかというと保守的な性格なので、新しいモノへの挑戦をためらう傾向があり、母からは「つまらない子ね」と言われることもありました。(失礼な人でしょ:笑)
以前、バナナミルクに炭酸水を入れて飲んでみたいと母が言うので「牛乳に炭酸水は絶対に不味いからやめた方がいいよ」と伝えると母は激怒。仕方がなく炭酸水と牛乳とバナナでリクエスト通りのバナナミルクを作り、母が飲んでみると「まずっっっ‼いらない」って(笑)もうだから言ったのに…と私は思うのですが、母は「不味いと思っても、挑戦してみることが大切。それにこれを美味しいと思う人だっているかもしれないでしょ?」だそうです。
「常識で物事を捉えてはダメよ。」が母の教え。常にアンテナを張り巡らせ、面白いと思ったら、とりあえず挑戦してみる好奇心旺盛な母。その好奇心、「知りたい」という思いこそが母の原動力だったのかもしれません。母は私の手を離し、一人で次のステージへいってしまいましたが、そこでもまた色々なことに興味を持ち、走り回っているであろう姿が目に浮かびます。「疲れたから少し休みたいわ」と言いながらも、たぶん、じっとはしていられないはず。
亡くなる数日前「人が死んだらどうなるのか、まだわからない。でも、私はもうここにはいない。それが事実ね。」と、話していた母。「ママは、死んだらどうなるのか、わかったの?」私は「ママがいない」という事実をどうしても受け止めることができない。だから「いない」という事実は間違えであって、一番近くにいてくれる…と思いたいよ。
大好きなママへ愛を込めて…
三浦 紗耶華