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【日清ヨーク】「エイジング」&「免疫」の乳酸菌飲料を新発売【ピルクル】

「ピルクル エイジングライフ」「ピルクル 免疫スタイル」

 日清ヨークが9月29日に新商品「ピルクル エイジングライフ」と「ピルクル 免疫スタイル」を発売する。「ピルクル ミラクルケア」(機能:睡眠の質改善)に続く、「ピルクル」ブランドの新機能商品2品の新商品発表会が開催された。「ピルクル エイジングケア」の機能性関与成分は、日清ヨークが乳酸菌飲料に含まれることを初めて発見した「DDMP」、「ピルクル 免疫スタイル」の関与成分は「酢酸菌GK-1」を採用し、「ピルクル」ブランドの柱である「乳酸菌NY1301株」を含むマルチヘルスクレームの機能性表示食品だ。日清ヨークは50年以上に及ぶ乳酸菌研究を武器に、65mlタイプで乳酸菌飲料 の市場を開拓していく。(レポート:中西陽治)

9月29日にマルチヘルスクレームの機能性表示食品が登場

 日清ヨークが9月29日(月)に発売する新商品は「ピルクル エイジングライフ」と「ピルクル 免疫スタイル」の2品。

 「ピルクル エイジングライフ」は、抗酸化作用を持つ「DDMP」によって〝記憶力〟を維持する機能と〝肌の弾力〟を維持して肌の健康を守るのを助ける機能を持つ。また「ピルクル」ブランドに用いられている「乳酸菌NY1301株」を含み、〝便通〟を改善する機能を持つトリプルヘルスクレームの機能性表示食品だ。

「ピルクル エイジングライフ」
商品概要

 「ピルクル 免疫スタイル」は「乳酸菌NY1301株」により〝腸内環境〟を改善する機能に加えて、「酢酸菌GK-1」による健康な人の〝免疫〟機能の維持に役立つ機能を持ったダブルヘルスクレームの機能性表示食品となる。

「ピルクル 免疫スタイル」
商品概要

9月25日に関西工場増築完了 製造強化で「ピルクル」販売に臨む

 「ピルクル」新商品発表会に登壇した日清ヨーク代表取締役社長の前田健二氏は、日清ヨークの歴史および事業領域について語った。
 前田社長は「当社は1969 年の設立以来、50数年にわたり乳酸菌による発酵技術をベースに、近年では開発研究とマーケティングに力を入れ、輝きと躍動感ある会社を目指してきた」と、乳業メーカーとしての歩みを語る。

前田健二社長

 そのうえで「今回の2商品は、フードテックとマーケティングによる新たな機能を得た機能性表示食費であり、生活者にその価値を広く伝えていきたい」と新商品に対する想いを示した。

 日清ヨークは1969年に「株式会社ヨーク本社」として設立し、1990年に日清食品のグループ会社として歩んできた。1970年に日本初の飲むタイプのヨーグルトを開発・販売。現在は「十勝のむヨーグルト」ブランドとしてヨーグルト飲料をけん引。そして1993年に〝思い切りゴクゴク飲める乳酸菌飲料〟をコンセプトに「ピルクル」を世に送り出した。

 前田社長は「『十勝のむヨーグルト』に示される発酵乳事業と、『ピルクル』に代表される乳酸菌飲料事業を大きな2本の柱として事業展開を行ってきた」と日清ヨークの強味について語る。

 製造分野では、それまで関東中心だったフィールドを、2010年に関西工場を稼働することで全国へと広げてきた。「明日9月25日に関西工場の増築が竣工し、今回の『ピルクル』ブランドの製造能力も上がる」と前田社長は供給体制にも自信をのぞかせる。
 また、2017年には関東工場を新工場として竣工し、研究開発にリソースを集めることにより2021年にトクホの「ピルクル400」、2022年に「ピルクル ミラクルケア」と2024年に「ピルクル ひざアクティブ」(いずれも機能性表示食品)といったヘルスケア軸の商品を生み出した。この事業領域において「われわれは冒険とわくわく感をモットーに展開している。その思いが結実したのがこのたびの『ピルクル エイジングライフ』と『ピルクル 免疫スタイル』だ」と掲げた。

前田社長「健康寿命という社会課題に研究と商品開発で挑む」

 新商品発売の背景には、日本人の健康寿命への関心の高まりがある。令和4年の「国民生活に関する世論調査」(内閣府世論調査)によると、日常生活の中で感じる悩みや不安について「自分の健康について」(59.1%)、「家族の健康について」(51.5%)と高い水準を示している。

 これらを踏まえて前田社長は「日本は世界有数の長寿大国であり、これまでの〝平均寿命〟という指標から〝健康寿命〟の実現へと国民意識がシフトしている。自分や家族の健康について不安を感じている国民に対し、多様な世代の健康課題をサポートする研究や商品開発が社会的に求められており、日清ヨークは事業領域においてその社会課題に貢献するためヘルスケア軸の食品に力を入れている」と使命感を燃やす。

深尾課長「日清ヨークならではのDDMPとして2つの特許を取得」

 続いて新商品2品の核となる、素材に対する研究活動について日清ヨークの深尾匡憲氏(開発研究所課長)より解説が行われた。

「ピルクル ミラクルケア」

 深尾課長は「日清ヨークではおいしさと研究の両立を目指し、乳酸菌の研究を行っている。その研究の結果の一つが当社独自の『乳酸菌NY1301株』だ」と語る。

 文献および基礎研究を通じて、「乳酸菌NY1301株」400億個を摂取することにより、菌株が生きたまま腸まで届き、乳酸などの有機酸を産生、これが腸内を酸性化し〝腸内環境を改善〟させる機能があることが示されている。具体的には「排便回数の増加」「善玉菌の増加」「便のニオイのもと(アンモニア)が減る」といったことが明らかになっている。

 「この『乳酸菌NY1301株』と腸内環境の関連性を発展させ、腸がもたらす諸所の健康機能について研究を進めてきた。その結果、菌株600億個を摂取することで〝睡眠の質を改善〟し〝日常生活の疲労感を軽減〟する機能に至った」と、「ピルクル ミラクルケア」につながる研究成果について説明した。

 この「乳酸菌NY1301株」研究は他の研究領域にも役立てられ、今回の「ピルクル エイジングライフ」の関与成分の発見に到達した。

深尾匡憲課長

 「日清ヨークが持つ乳酸菌含有液が高い抗酸化活性を有することに着目し、その理由を深掘りしていく過程で、新しい抗酸化成分を発見した。それが『DDMP』という成分だ」と、深尾氏は機能性および乳酸菌飲料の新たな幕開けを表明した。

 DDMP(2,3-dihydro-3,5-dihydroxy-6-methyl-4H-pyran-4-one)は、糖とアミノ酸とのメイラード反応によって生成される成分で、日清ヨークの開発研究所によって同社乳酸菌飲料の製造工程において高濃度DDMPを産生させる方法に成功。この高濃度DDMPが抗酸化作用を持つ事が明らかとなっている。深尾課長は「DDMPが乳酸菌飲料を作る工程で生まれたDDMPは、ポリフェノールに似た成分として果物のプルーンなどに含まれている天然物質である」とその安全性を示す。

 「また、DDMPの価値を高めるため、知的財産についても拡充を進めてきた」とし、〝DDMPの抗酸化作用による乳酸菌飲料〟と〝DDMPを一定量以上含む抗酸化作用を有する乳酸菌飲料の製造方法〟の2つの特許を取得していることを明かした。
 この基礎研究の成果で生まれた「ピルクル エイジングライフ」は日清ヨークでしか成しえない、唯一無二のプロダクトであることを意味する。

 深尾課長は今後の研究活動について「〝乳酸菌NY1301株〟の腸内環境改善および関連する機能のエビデンスを確保していくこと。そして〝DDMP〟を基軸とした新しい抗酸化作用に注目し研究を進めていく」とした。
 そして「DDMPは可能性あふれる素材。アンチエイジング領域も含め、ターゲットに定める40代以上の女性、家族を持つ女性が求める機能を今後も探求していく」と今後の研究および商品開発に熱意を込めた。

犬飼氏「9年連続高伸長の『ピルクル』で新領域に挑戦する」

 そして記者に向けた試飲とともに、日清ヨークの犬飼美穂子氏(マーケティング部部長)による商品概要と開発背景が語られた。

犬飼美穂子部長

 犬飼部長によると「ピルクル」ブランドの誕生は、日清ヨークの研究員が65mlの乳酸菌飲料が主流だった当時「思い切りゴクゴク飲める乳酸菌飲料が欲しい」と思ったことから始まる。発売から32年を経た今でも、リッタータイプや500ml紙パックタイプ、そして65ml×10本パックといったボリュームやシェア感を有しているのはこの想いに根差しているからだ。

 2021年にトクホの「ピルクル400」を発売し、近年はテレビCMなど積極的なマーケティングを行ってきた。その結果、それまで微増傾向だった「ピルクル」ブランド売上金額は、2015年ごろから急成長し、9年連続で過去最高の売上を更新し続けている。

 一方で乳酸菌飲料市場は2021年の784億円(前年比108.2%)から2022年の1,107億円(同141.2%)、2023年には1,371億円(同123.8%)と大きく拡大しつつも、2024年は1,262億円(92%)と伸びがストップしている。【インテージSRI+調べ】

 犬飼部長は「睡眠ブームのピークアウトもあり、一時の勢いが収まったように見える。しかし乳酸菌飲料の健康価値は広がっており、この市場を再び活性化させるべく2つの新商品を発売することとなった」と経緯を説明した。
 「ピルクル ミラクルケア」をはじめ、睡眠ケアの乳酸菌飲料が市場をけん引してきたことは明らかだ。日清ヨークはそこに乳酸菌の新領域〝エイジング〟と〝免疫〟を価値として付与し、大人にも、またファミリー層にも広く受け入れられる「ピルクル」2商品を発売するに至った。

 その一つ「ピルクル エイジングライフ」について、犬飼部長は「研究開発にかなりの時間を費やし、発売まで5年かかった。肝はもちろん関与成分の〝DDMP〟であり、抗酸化作用を持つポリフェノールに似た成分として乳酸菌飲料に含まれることを日清ヨークが初めて発見したことで、商品化が実現した」とその開発までの道のりを示した。

 「ピルクル エイジングライフ」が受け皿となる〝抗酸化〟のニーズについて犬飼氏は「40代から60代のアンチエイジング関心層に行った調査では、〝抗酸化〟という言葉の認知率は78.2%。言葉だけ知っている層を含めると99%とう高い認知率を示している。また〝抗酸化〟の魅力度も86%という高い水準だった」と紹介する。
 そのニーズを裏付けるように「抗酸化食品市場」は2024 年には961億円に届くとみられている。【富士経済調べ】

 〝抗酸化〟のニーズの高さを踏まえて、日清ヨークでは40~60代のそれぞれの年代と性別に分け、各世代でエイジングで気になる項目を洗い出し、その結果、いずれの世代・性別でも関心度が高かった「肌関連」(弾力・シミ・しわ・くすみ・たるみ等)と「記憶力の低下/脳の老化」という具体的な指標を定めた。

 その2つの指標を「肌の弾力性」と「言語記憶力」としてそれぞれヒト試験を行ったところ、DDMPを含む乳酸菌飲料の摂取による有意差を確認。機能性表示食品として届出受理を果たした。また「ピルクル エイジングライフ」にはDDMPはもちろん、乳酸菌NY1301株も含まれているため「腸内環境を改善し、便通を改善する機能」を有したトリプルヘルスクレームを冠することとなった。

「エイジングライフ」は関心最大化の40~50代をコアターゲットに

 続いて犬飼氏は「ピルクル エイジングライフ」の商品ターゲットについて言及。「エイジングに関してはやはり男性より女性の方が関心が高い傾向にある。ターゲットを定める分析を行う前までは漠然とシニア層にニーズが集中し、『ピルクル ひざアクティブ』とターゲット層がバッティングするのでは、と想定していた」と振り返る。しかし日清ヨークの1万人規模の調査の結果、「女性のエイジングへの関心は、40代に最大に高まり、その後70代までピークを維持することが分かった。つまり女性は40代の時点ですでにエイジングに関する関心がマックス値を示している」と犬飼氏は、ニーズが早い段階でピークを迎え、その後維持されていくことを説明する。また女性ほどではないが男性もエイジング関心度は40代にピークを迎え、その後も維持されている。

お馴染みのサイズ感にニーズの高い機能を落とし込んだ

 この40~70代のエイジング関心度ピーク層に対し、どのような対処をしているかを調べたところ、40~50代は「健康食品やサプリを含む食事関連」が主で、60~70代になると「検診や通院」に加えて「趣味などの生きがい」「ウォーキング」といった幅広い対処方法にシフトしていることが分かった。

 これらのマーケティングから、犬飼氏は「コアターゲットはエイジング意識のエントリー層であり食によるケアを主に行っている40代・50代の女性をターゲットに定めた」と語る。

 「ピルクル エイジングライフ」は一本65mlの8本パックのパッケージで、摂取目安量は1日1本。デザインは大人の高級感を演出すべくきらきらと輝く未来をテーマとしており、味わいも「ピルクル」本来のコクを保ちつつ、大人が続けやすいさっぱりとした後味に仕上げた。
 今後のプロモーションとして10月27日よりテレビCMの放送を予定しており「かなりエッジの立った内容となっているので、期待してほしい」と犬飼氏は語る。

「免疫スタイル」戦略は〝手ごろな価格〟と〝家族利用〟

「エイジング」「免疫」「睡眠」で健康ニーズを網羅的にフォロー

「ピルクル 免疫スタイル」に関しては「ネーミングとパッケージで全て伝わるような商品」と犬飼氏は説明。

 免疫飲料市場は2024年見込みで978億円(前年比107%) と堅調に成長しており、各社の参入で今後さらなる伸長が見込まれるカテゴリーだ。「この大きな市場のどこかにチャンスがないか、と分析した結果、既存の免疫機能商品では〝家族の体調管理〟が取り切れていないことが分かった。『ピルクル』ブランドの65mlタイプは6~10本のパッケージで、家族利用が多いため、ここがチャンスだと捉えた」と犬飼氏は語る。

 その上で〝家族の体調管理〟に欠かせないポイントを「価格(手ごろであること)」「家族でも飲みやすい設計(味・容量・ブランド)」である定義した。
 犬飼氏は「パーソナルユースであるならば多少の値段は許容されるが、家族や複数人で取り入れる場合は毎日飲める価格帯であることが重要」と指摘。さらに「内容量はあまり多くない方が続けやすいこと、味わいも世代問わず愛されるものであることが家族層に受け入れられやすいと考えている」(犬飼氏)。

 これらのポイントを押さえた「ピルクル 免疫スタイル」は、家族で続けられる免疫機能商品となっている。

 「ピルクル 免疫スタイル」も一本65mlの8本パックのパッケージで、摂取目安量は1日1本。デザインは高級感を付与しつつ、ネーミングとパッケージで商品特長を伝えきられるよう店頭で目立つ姿に仕上げた。味わいは家族みんなが馴染みのある「ピルクル」レギュラー商品に準じた風味を採用している。
 こちらは10月14日からテレビCM放送を予定しており、立て続けの大型プロモーションで商品認知を一気に拡大していく方針だ

年間売上目標100億円に向け積極的なプロモーション実施 

 新商品2品に「ピルクル ミラクルケア」を加えた機能性シリーズ3品を〝ピルクルなら見つかる!あなたにぴったり健康パートナー!」のテーマとともに、部六陳列で乳酸菌飲料売場の活性化を図る。「睡眠や疲労感関係」(ピルクル ミラクルケア)、「家族の体調管理関係」(ピルクル 免疫スタイル)、「大人の健康」(ピルクル エイジングライフ)と、ターゲットおよび機能別で、現在フォロー可能な乳酸菌飲料の機能領域を網羅し、そして新たな習慣づくりを誘引する。

 今後特に注力するチャネルは「SMおよびDgSで幅広い健康ニーズをフォローする。特にチルドカテゴリーの拡大が顕著で、機能性表示食品との親和性が高いDgSは今後注力していきたいチャネル」と犬飼氏は展望を語る。

 乳酸菌飲料だけでなく機能性表示食品の市場にも新風を巻き起こす「ピルクル エイジングライフ」と「ピルクル 免疫スタイル」。前田社長は「新商品2品で年間100億円の売上目標」と新発売に並々ならぬ自信を覗かせている。

「ピルクル」ブランドの機能性シリーズ