10月になれば衣替え…といきたいところだが、まだまだ暑い日が続く今年は、そのタイミングに悩む生活者は多いだろう。日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (坂田政一社長) が好評公開中の『Fromプラネット』 の今回(第236号)は、衣類のお手入れに関する意識調査を実施している。おしゃれ着の洗濯や衣類の整頓の方法、衣類の購入場所などと合わせて参考にしていただきたい。(同様の調査を2023年4月にも実施。)
おしゃれ着用洗剤を使用しているかを聞くと(図表1)、「使用している」と回答した人は34.4%だった。前回調査では37.9%が「使用している」と回答しており、今回は減少している。使用している人の割合を性年代別に見ると、男性は年代であまり割合に変化がないが、女性は年代が上がるほど、使用している人の割合が高い傾向にある。洗濯にあまり気を使わない人が増えたのか、わざわざおしゃれ着用洗剤を使わなくても普通の洗剤で十分だと思う人が増えたのか、理由も気になるところだ。
季節に合わせて、衣替えを行っているかを聞くと(図表2)、「衣替えはしない」という人が21.1%で、残りの8割近くは衣替えを実施していた。前回調査では17.6%が「衣替えはしない」と回答しており、衣替えをしない人が増加している。
衣替えをする人が、実際にどんなことをしているのかを見てみると、最も割合が高いのが「クローゼットや押入れ、衣類棚を入れ替えたり、整理整頓したりする」(49.3%、前回調査では52.8%)だった。そのあとは、「着なくなった衣類や着られなくなった衣類を処分する」(40.6%、前回:43.8%)、「乾燥剤や防虫剤を入れ替える」(34.3%、前回:38.3%)、「衣類をクリーニングに出す」(26.5%。、前回:34.0%)と続くが、いずれも、前回調査より実施する人の割合が低くなっている。
「衣替えをしない」と回答した人を性年代別に見ると(図表3)、男女ともに年代が若いほど割合が高くなる傾向にある。
衣替えをしない理由を聞くと(図表4)、最も割合が高かったのは「整理するのが面倒だから」(29.5%、前回:25.6%)だった。前回調査でトップだった「あまり服を持っていないから」(25.4%、前回:28.3%)は割合が下がって4位になっている。
前回、今回ともに2位は「衣替えしなくてもいいように整理しているから」(28.3%、前回:27.1%)。前回調査では衣替えをしない女性の35.5%が「衣替えしなくてもいいように整理しているから」と回答したが、今回は38.2%と、さらに割合が高くなっている。
「洗濯後の衣類をハンガーにかけっぱなしにしますか、タンスやケースにしまいますか」という質問に対しては(図表5)、男性・20代は43.8%、女性・20代は34.0%が、「ハンガーにかけっぱなしにしているほうが多い」と回答している。住環境や普段の衣類の扱い方の変化によって、衣替えをする人は少なくなっていくのかも知れない。
衣替えをする人に、実施するタイミングを聞くと(図表6)、「時期関係なく、気候に合わせて衣替えをする」という人が44.1%で最多だった。次いで、「時間などに余裕があるとき」(36.2%)、最後が「毎年決まった時期に衣替えをする」(19.7%)という順番となる。
家庭では決まった日付に衣替えをする人のほうが少数派のようだが、企業や学校では6月1日と10月1日に衣替えとして、制服の切り替えをするところが多いはず。最近では暑くなるのが早く、また残暑も厳しいことから、タイミングも考える必要があるかも知れない。
さまざまな分野でサブスクリプションサービスが生まれているが、定期的に服が届くものやクリーニングなど、衣類関連のサブスク利用者はどの程度いるのだろうか。全体では4.4%が「利用している」、3.3%が「以前利用していたが、今は利用していない」、92.3%が「利用したことはない」という結果だった(図表7)。ただし、男性では20代、30代、女性では20代で、「利用している」という人が1割を超えている。
普段、どこで衣類を購入するか聞いたところ(図表9)、トップ3は「ショッピングセンター・ショッピングモール」(51.6%)、「衣類量販店(ショッピングセンターなどに入っていない店舗)」(43.3%)、「ネット販売」(36.9%)の順だった。
購入先の上位5項目を性年代別に見てみると(図表10)、「ショッピングセンター・ショッピングモール」は性別問わず幅広い年代が高い割合で利用している。「衣類量販店(ショッピングセンターなどに入っていない店舗)」も傾向としては近いが、女性・20代の利用は少ないようだ。
「ネット販売」については男女で傾向が異なり、女性は70代以上を除いた年代で4割を超え、最も割合が高い「女性・30代」は49.2%となる。一方、男性はどの年代も4割に達していない。また「男性・70代以上」(23.3%)よりも「男性・20代」(21.9%)のほうが割合が低いという結果に。サブスクの利用状況を考えると、若い男女の「ネット販売」の割合がもっと高くてもいいような気がするが、買うとなるとまた別の要素があるのだろうか。
以下は、「コロナ禍以降、衣類に対する考え方や扱い方に変化があるか」を自由回答で聞いた結果。多くの人が何らかの影響を受けており、外出が少なくなったこと、特に出勤が減ったことによって、家で着るものの着心地を重視したり、スーツ代わりに別の服が充実したり、という人が多いようだ。また、洗濯しやすい服を選ぶようになった人も増えている。
【買い方や買う物に変化が】
● 外に出なくなったので、家で着るために、もっと着心地を考えて服を買うようになった。置いておくとカビが生えることに気づいたので、不可表示でも自分で洗うようになり、クリーニングには出さなくなった。(女性・30代)
● 自宅にいる事が増えたからか、フォーマルよりもカジュアルな服が増えた。 締め付けなどのストレスがかかる服装よりも着替えや洗濯が楽でリラックスできる素材の物を選ぶようになった。(女性・40代)
● 家にいるときは楽な格好をするようになりました。そのため、比較的安価なシンプルなものが増えました。でもあまり好みではないので、今後はどうしようか考えているところです。(女性・50代)
● コロナ以降家にいる事が増えたので、優しい着心地の高級パジャマを購入することが増えた。柔らかくてしっとりした素材で香りも残りやすいので、外では好き嫌いの分かれそうな強めの香水のような柔軟剤を、パジャマやリネンアイテムには使うようになった。(女性・20代)
● 自分の表現にこだわるようになった。(男性・40代)
● コロナ以降に外出する機会が減ったので、服を買う頻度が減り、価格よりも質を求めるようになった。(男性・30代)
● 服を買うことが少なくなり、ファッションには無頓着になった。その分、いいなと思う商品(ちょっと高価な洋服)を買うようになったし、洗濯用の柔軟剤の香りにお金をかけるようになりました。(女性・30代)
● コロナで自粛中はほとんど衣類を購入しなかったし時間があったので着ない洋服は処分して、クローゼットはかなりスッキリした。それ以降は1枚買ったら1枚処分するを徹底している。(女性・50代)
【コロナ禍でスーツを処分した、着る機会がなくなった】
● コロナ禍中に退職したためスーツ系は2着のみ残し、Yシャツ含めてフリマアプリで売却した。ジャケットが2着あるが、着ることはほぼ無い。パーカーで十分。(男性・50代)
● コロナが流行して、出勤という概念がなくなり、オフィスカジュアルやスーツは使わなくなったので、友達にあげたり、ブラジルの貧しい人たちに送れる機会があったので、寄付したりしました。 (女性・30代)
● スーツは処分し、スウェットとジャージにTシャツメインになった。(男性・40代)
● スーツを着用することが圧倒的に減ってカジュアルスタイルが増えたからインナーは細かく買い替えや買い足しするようになった。(男性・50代)
● オンオフの境界がユルくなったので、パジャマスーツなどのオンカジアイテムの着用が増えた。(男性・30代)
● 会社が服装自由になったのでスーツを着なくなった。そのためワイシャツも買わなくなった。その代わり、普段着のTシャツなどの購入頻度が上がった。(男性・50代)
【洗濯できるもの、手入れが楽なものを選ぶようになった】
● コロナでなるべく洗濯が出来る衣類を購入するようになった(女性・30代)
● おしゃれ着の手洗いが面倒なので、なるべくマシンウォッシュできる服を購入している。(女性・30代)
● ガンガン洗える服を買うようになった。(女性・300代)
● 洗えるスーツを購入することが多くなり、着たらすぐ洗ってしまうようになった。(女性・40代)
● とにかく衛生重視で、仕事に着るものでも洗えるものを買うようになった。(男性・20代)
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「衣類のお手入れ」に関する意識調査を実施。
期間:2025年7月25日~7月28日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
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