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【新連載】薬学生の地域活動体験記

第1回「地域活動を始めたきっかけとその魅力」

 初めまして!帝京平成大学薬学部6年の三井明日香です。

 今回から、私が大学生活のなかで取り組んできた地域活動について発信していきます。

 まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。
 私は大学2年生の時に地域連携サークル(現:地域連携部)に入部し、子ども食堂や小・中学校、高齢者施設で薬に関する講座を行う「薬育」など、さまざまな地域活動に参加してきました。大学4年生の時には代表として部をまとめる立場も経験しました。現在は国家試験の勉強や卒業論文に奮闘しながら、地域活動にも変わらず参加しています!

 もともと私は、幼い頃から医療に関わる仕事に就きたいと考えており、高校生の時に薬学の道を選びました。しかし、大学受験は思うようにいかず、「なぜ帝京平成大学を選んだの?」と聞かれると、「ここしか受からなかったから……」と少し寂しい答えになってしまいます。でも今は、「帝京平成大学で本当に良かった!」と心の底から思っています。

 私は2020年に大学生になりました。みなさんは「2020年」と聞くと、何を思い浮かべますか? 東京オリンピック? それとも新型コロナウイルスの流行でしょうか? 2020年は、多くの人にとって大きな変化の年だったのではないかと思います。私も、大学の入学式は中止になり、初めての授業はオンライン授業という、寂しいスタートを切りました。

 もともと私は、人と話すのが好きで、人前に出ることも苦手ではありません。でも実は、とってもビビりなんです。新しい環境に飛び込むのは毎回ドキドキするし、最初の一歩を踏み出すにはかなり勇気がいります。地域活動に参加してみると、最初は緊張することばかり。でも、関わる人や活躍する場所が増えるうちに、ビビっていることが表に出なくなってきたんです(内心は今でもドキドキすることが多いですが…!)。

 そんな私が、どうして地域活動にのめり込んでいったのか。そして、地域活動を通じて感じた魅力とは何か。今回は、そのお話をしたいと思います。

 私が地域連携部に入部した理由は、コロナ禍でなかなか外に出られない息苦しさからの解放と、将来薬剤師として働くうえでの下積みでした。
入学当初から、薬剤師に求められる役割が「対物」から「対人」へと変わりつつあることを講義で聞いていた私は、人と関わる経験はきっと自分の財産になるはずだと考えました。
 また、幼い頃からボランティア活動に興味があり、参加経験もあったため、地域連携部の活動内容はとても魅力的に感じました。

 そこで私を待っていたのは、思ってもいなかった出会いや気づきでした。

 私が地域活動に興味を持ったきっかけは、大学2年生のときに初めて参加した「子ども食堂」のボランティアです。

 新中野にあるうどん屋さんが月に2回ほど開催していたもので、当時はコロナ禍だったため、店内ではなくテイクアウト形式。正直、最初は「子ども食堂って、子どもたちに向けた活動なんだろうな」くらいのイメージしか持っていませんでした。
 でも、実際に現場に立ってみると、大人も利用可能でありとてもオープンな感じでした。

 しかし、想像していたよりも利用者が少なくて驚きました。外で呼び込みをしても、なかなか足を止めてもらえず、「何をやってるんですか?知らなかったです!」という声もあったくらい。

 子ども食堂という言葉は知っていても、実際には大人の利用が可能であることや開催情報が十分に届いていないこと。
 そして、食堂を開く側の支援も、もしかしたら足りていないのではないかという現実。
「知らなかったこと」に、たくさん気づかされた時間でした。

 そんな中で、地域の方から「学生さんが来てくれて嬉しい!」「やっぱり若い力はすごいね!」
と声をかけてもらったときの嬉しさは、今でも忘れられません。

 コロナ禍では、若者の外出や行動が厳しく批判されるニュースが多くありました。私自身も、大学に通うために電車に乗るだけで周囲の目が気になったり、出かけることに後ろめたさを感じる日々を過ごしていました。だからこそ、地域に出て、誰かに必要とされるあたたかさに触れたとき、胸がじんわりと温かくなったのを覚えています。

 それから私は、地域活動にどんどんのめり込んでいきました。
楽しかったから、役に立てる喜びを感じたから──

 でも、活動を重ねるうちに、それだけでなく「知らないこと」「見えていなかったこと」がこんなにもたくさんあることに気づきました。
そして、ただ知って終わるのではなく、自分たち学生だからこそできる形で地域に伝えていったり、小さな輪を少しずつ広げていったり。薬学生という立場だからこそできる形で、地域に届けていきたいと思うようになりました。たとえ資格がまだなくても、私たち学生には、学んできた知識と若い力があります。それを地域に還元していくことで、薬学生としての可能性をもっと広げていきたい──

そんな想いが、私を地域活動に夢中にさせてくれました。

 座学で学んだ知識を、地域での経験を通して自分の中に落とし込んでいく。
 そんな学び方ができることも、地域活動の大きな魅力だと感じています。

 次回は、具体的にどんな活動をしてきたのか、活動の中で大変だったことなどについて私の体験を交えながらご紹介したいと思います。ここまで読んでくださって、ありがとうございました!