国立長寿医療研究センター(荒井秀典理事長)とエーザイ(内藤晴夫代表執行役CEO)は、国立長寿医療研究センターの監修のもと、エーザイが「認知機能低下リスクの低減と栄養に関するガイダンス」(以下、「ガイダンス」)および「認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキット開発の手引き」(以下、「手引き」)を作成し、宅配食/ミールキットサービスをはじめとする食品関連企業への提供を開始した。
健康的な食事は成長や発達、疾患予防など、生涯を通して極めて重要な役割を果たし、近年では、認知症や軽度認知障害(MCI)の予防にも有効である可能性が報告されている。認知機能低下の早期発見と早期対応の重要性に関する理解が高まる中で、適切な食事は認知症のリスク低減の重要な選択肢の一つと考えられている。
国立長寿医療研究センターでは、認知機能の維持や公衆栄養の向上に資する研究成果を、学術的な発表だけにとどめず、社会実装へとつなげていく取り組みを推進している。またエーザイは、40年にわたる認知症領域での研究開発の知見を活かして様々なパートナーと連携することで、認知症に関する課題解決への貢献をめざしている。
今回エーザイは、国立長寿医療研究センターによる監修のもと、8,269件の国内外の認知機能低下リスクを低減する栄養素や食事に関する研究をレビューし、どのような食事が認知機能低下リスクを低減する可能性があるのかについてガイダンスを作成。また、認知機能の維持・向上に関連するエビデンスを客観的に評価し、「認知機能低下の原因となる低栄養およびフレイルの防止」「認知機能低下リスクを低減する栄養素」「認知機能低下リスクを低減する栄養バランス」の観点から宅配食/ミールキットメニューの開発に向けた手引きを作成している。
同ガイダンスおよび手引きは、これらを活用し認知症の啓発活動への協力に合意いただいた食品関連企業に対し、ご希望に応じエーザイが提供するもの。今後も国立長寿医療研究センターとエーザイは、宅配食/ミールキットにとどまらず、より多くの食品関連企業と連携していく予定である。
<参考資料>
「認知機能低下リスクの低減と栄養に関するガイダンス」および「認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキット開発の手引き」について
エーザイは、WHOが推奨する栄養的介入の観点から、国立長寿医療研究センターの櫻井孝研究所長等の論文を含めた8,269件の国内外論文をレビューし、国立長寿医療研究センターの監修のもと、食品関連企業がアカデミアの知見を活かして新たな事業を行えるよう、「認知機能低下リスクの低減と栄養に関するガイダンス」と「認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキット開発の手引き」を取りまとめている。
<認知機能低下リスクの低減と栄養に関するガイダンスの概要>
高齢期は、糖尿病などの生活習慣病を意識した過栄養予防から、フレイル対策を意識した低栄養予防へとシフトする時期で、同時に認知症の発症リスクが高まる時期でもある。認知機能低下を伴う高齢者では、嗜好や食生活の変化により過栄養のリスクが高まる場合や、身体機能や活動量の減少等により摂食量が低下して低栄養のリスクが高まる場合もあり、一般の高齢者よりも栄養の過不足が生じやすいといわれている。当ガイダンスでは、国内外の認知機能低下リスクを低減する栄養素や食事に関する研究をレビューし、どのような食事が認知機能低下リスクを低減する可能性があるのかについて理解を深めることを目的としている。
<認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキット開発の手引きの概要>
一般の宅配食/ミールキットメニューは、日本人の食事摂取基準(2020年版、最終更新:同年1月21日)や日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(同年4月公表)などを参考に策定されている。当手引きは、これらの基準を遵守した上で「認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキットメニュー」を開発するための情報を、管理栄養士の方など、メニュー開発される皆さま向けにまとめた参照資料となる。
2月3日現在、この取り組みの意義に賛同し、ガイドラインと手引きを活用してメニュー、サービス開発を推進している企業は以下のとおり※。
※各社は、エーザイが作成し、国立長寿医療研究センターが監修した「認知機能低下リスクの低減に寄与する宅配食/ミールキット開発の手引き」に基づき、健康弁当やミールキットの開発・製造を行う。なお、開発・製造は各社の責任のもとで実施される。