「なんとかして人々の健康づくりに貢献したい」と思っていたある日、当時東京農業大学農学部教授だった長島孝行農学博士と出会い、そしてシルク由来の食品素材シルクフィブロインの素晴らしさを知り、“年中夢求”でモノ作りに挑戦してきた吉川育矢さんが創業したドクターセラム。幾多の苦難を乗り越えてきた同社の創設20周年を記念したパーティが、ホテル椿山荘東京で開かれた。
この日、会場に集まったのは吉川さんの人柄とシルクフィブロインを主成分として開発されたゼリー状の食品に魅せられた約300名の関係者。普及活動に全力を注いできた吉川さんは開口一番、「これほど多くの方々が来ていただくとは想像しておりませんでした」と語り、これまでの20年の軌跡を振り返り、「今日に至るまでには様々なことがあったが、これも多くの方々のご協力があったから…」と挨拶。
吉川さんが長島博士との出会いがなければ、シルク由来の食品素材シルクフィブロインを主成分としたゼリー状の食品は生まれなかったかもしれない。吉川さんと長島博士との巡り合いによって誕生した食品は、たくさんの人たちに愛用されている。
ゼリー状の食品の主成分であるシルクフィブロインのフィブロインタンパクは、レジスタントプロテインであると同時にナノレベルの基本構造を持ち、非常に複雑な形状をしており、原子間力顕微鏡レベルでは多孔質のようにも、らせん状のようにも見えるという。この複雑な隙間に吸脂性という機能が生まれ、消化し難いという性質から脂肪を吸着し97%を体外へ排泄するものだ。(関連記事:ヘルスケア・インタビュー「ドクターセラム代表の吉川育矢さんに聞く」)
長島博士の研究に着目した吉川さんは、食事前に消化管へシルク由来の食品素材のシルクフィブロインを入れておくと、食べた脂肪分を吸着し便と共に排出される商品づくりを進め、長島博士との共同研究によって食品としての開発に成功した。この商品、実は2015年に開催された食品開発展でNHKの取材を受けて全国に報道された経緯がある。
ドクターセラムの記念パーティーの参加者は、取引先が大半だったが、「製品も素晴らしいが何よりも吉川さんの人柄…」と語っていた関係者。吉川さんから届くFACEBOOKは、それこそ日本国内だけでなく海外からも。どんなに忙しくても多くの交流日記が綴られている。まさに“年中夢求”で、人々の健康と美に役立つビジネスを追い求めている吉川さんならでは、である。
パーティの締めくくりに招かれた男女二人のタレントは、吉川さんを壇上に招き素晴らしい唄を熱唱。その歌唱力に吉川さんは、これまでの苦悩の日々を思い出したのか、両手で流れ落ちる涙を拭うシーンもあった。「唄声を聴いていて、つい昔のことを思い出して涙が出てしまいました」と吉川さんは話していたが、祝辞、モノマネあり、笑いあり、歌声あり、涙あり…とても暖かい心温まるパーティだった。