興和がミノムシ繊維の産業化に向けた技術開発を進め、世界で初めてミノムシ繊維の製品化を達成した。また、ミノムシの研究開発から得られる、多種多様な新素材の総称として、「MINOLON(ミノロン)」ブランドを立ち上げた。
ミノムシが吐く糸(ミノムシ繊維)は、クモ糸を凌駕するほど硬くて粘り強く、構造材料として理想的な外力への応答性を示す。ミノムシ繊維の産業利用に向けた生産体制の構築を進める過程で、シート状のミノムシ繊維(MINOLONシート)の製造方法を見出した。 MINOLONシートは、CFRPCFRP(炭素繊維強化プラスチック:Carbon Fiber Reinforced Plastics Plastics)と複合することにより、CFRP 本来の性能を損なうことなく、「高速での衝撃を吸収しつつ壊れにくい」という特性を、CFRP に付与することが明らかになった。
興和はこの特性を持つMINOLONシートを製品化し、スポーツメーカーと共同でMINOLON シートをCFRP に複合化した製品の開発を進めており、間もなくその製品が発売される予定。
一方、研究段階だが、ミノムシ繊維を短繊維化し 「ミノムシ繊維FRPFRP(繊維強化プラスチック:Fiber Reinforced Plastics)」にすると、破断伸度を維持しながら破断強度を上昇させるという、従来の短繊維複合FRP では実現できない特性を、付与できることがわかってきた。従来のタフネス不足で利用できなかったFRP 製品への展開が期待される。