三菱地所が、丸の内で精米店を始めた!?
しかも、丸の内のビルの中に精米機を設置して、担当社員自らが朝から糠だらけになって精米をしている。そして、その精米したての米を契約する大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)の各飲食店や企業の食堂に卸販売しているのです。
その名も、「丸の内精米店」。三菱地所の「MEC PANTRY(メックパントリー)」という共同調達プラットフォームで、三菱地所に入居する飲食店や企業の食堂で日常的に使う食材を一手に仕入れ、効率的な食材の供給体制をつくる企画の実証実験第一弾として始まったものです。
(公財)日本ヘルスケア協会のお米で健康推進部会を通じて、この企画の立案者である三菱地所の佐々木大輔さんと山田真吾さんにお会いしてから、彼らのお米愛にほだされて(!?)、これに加担したくなったのは去年のこと。
11月には、辺境のわが町・鳥取県江府町にも視察に来てくださり、農家さんから色々なお話を聞きながら、奥大山・江府町の恵まれた環境を体験して頂き、白石町長とも思いを共有していただいたのでした。
それから一年後。
丸の内で江府町のプレミアム特別栽培「きぬむすめ」が食べられるようになりました。
ポップアップイベント(※現在終了)も行われ、旗艦店舗には江府町のロゴが掲げられました。
奥大山自慢の鹿肉(奥大山地美恵)を使い、プラネタリーヘルスに配慮した、丸の内版「地球カレー」に、私の協生農園でとれた大葉味噌を使ったおむすびを提供し、好評をいただきました。
期間中は、地元鳥取県から入閣された赤澤亮正経済再生大臣も忙しいご公務の中、視察にいらして下さいました。
昼食も抜きで公務をこなしておられたとのことで、精米所で試食のご飯をおかわりされて2杯召し上がって頂きました。「いい香り!」とこの表情。
何より、今回、江府町の農家の皆さんが、自分たちで手がけたお米がどんな場所でどんな人たちに食べられているのか、その現場を見ていただけたことがとても大きかったと感じています。
JAに卸したお米は、通常、その流通先が農家さんたちには分かりません。
その逆で、そのお米を食す生活者も、どんな環境でどんな人たちが生産しているのか、分かりません。
「食べることは農業的行為である」とは、環境文化学者のウェルデン・ベリーの言葉ですが、本質的には食べることで私たちは農業から続くフードバリューチェーンの一部であり、農業を通じてその土地の生態系とも繋がっているわけですが、そのつながりが全く感じられなくなっていることが、人と土地との精神的な分断につながり、それが社会構造に応用され、人は人だけに最適化された社会をつくりあげています。
米離れが進み、政策としても米よりも輸入小麦に有利な状況となっている現状ですが、むしろ、地域創生や有事においての国力を考えると、減反よりもむしろ如何に日本人の主食であり、里山システムを支える地域の米生産を中心に地域経済を回していくかを考える必要があると考えます。
小麦というもの自体は、古来から日本でも食べられていた穀物ですが、主に輸入に頼っているという現状と、大量生産型の輸入小麦に残留する除草剤や品種改良された現代の小麦に多く含まれるグルテンが古代種とは違う遺伝構造になり、消化が難しく腸内環境にも悪影響を与えることなどからも、現状の小麦の流通システムが継続することは、プラネタリーヘルスとは逆の人と社会、地球の病理の一員となっていると思うのです。
糖質制限ブームから米離れがさらに進みましたが、穀物=糖質が多く体に悪いというのは勘違いで、澱粉の中でもアミロースを含むうるち米は、食物繊維的な働きをするため、野菜よりもむしろ穀物から摂取できる食物繊維量の方が多いのです。そのため、単純に主食を減らして便秘になったという糖質制限実践者の声も。
日本の里山システムを支えてきたのは稲作ですし、プラネタリーヘルスの観点からも、日本の稲作を守り、米を食べることを現代の社会、生活に結び直すことはとても大切だと考えています。
今年の実証実験からさらに発展して、お米を通して都市とローカルの循環を生み、日本式のプラネタリーヘルスの持続可能な基盤構造となればと考えています。
実証実験は2024年11月末まで。この期間中は、丸の内精米店の取扱店舗の一部で江府町のお米を食べていただくことができます。
取扱店舗は、こちらから「丸の内精米店」
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