キリンホールディングスは8月19日、都内でプラズマ乳酸菌配合新商品体験会を開催した。今回の新商品はいずれも9月に発売されるキリンビバレッジの「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」「同 野菜と果物 1食分」(9月3日発売)とタカノフーズの「すごい乳酸菌ゴールド プラズマ乳酸菌たれ付」(9月1日発売)の2品。(取材=中西陽治)
体験会に登壇したキリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部ブランドマネージャーの鈴木侑磨氏は、「キリングループでは『免疫』を最重点領域と位置付け、2027年にはプラズマ乳酸菌の売上収益500億円を目標と定めている」と掲げた。
同社の調べによると、85%の人が「免疫は健康に必要だと思っている」と意識しながら、「免疫ケア習慣がある」と回答している人は11%にとどまっている。同社ではその意識と行動のギャップを埋めるため、より習慣的な免疫アクションにつなげていく必要がある、と考え、習慣的な食生活に取り入れられる「野菜飲料」と「納豆」にフォーカスした。
また、同社の別の調査では、免疫対策として用いられる食品カテゴリーは、トップのヨーグルト(65.5%)に続き、「発酵食品」(48.4%)の需要が高く、「発酵食品」である納豆カテゴリーでの免疫訴求に的を絞った。同調査では「野菜ジュース」(29.1%)ニーズの高さも浮き彫りとなり、習慣的な飲用ができる野菜飲料カテゴリーからも免疫ケアを啓発する。そして「体調管理にしっかり効果がある野菜飲料を飲みたい」という購入動機に注目し、〝体調管理に、新提案〟を掲げた「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」「同 野菜と果物 1食分」を発売することとなった。
キリンビバレッジ マーケティング部の増田健志氏は「免疫ケアにおいて、朝の飲用シーンがより習慣化されやすい傾向がある」と話す。これはキリンビバレッジの「おいしい免疫ケア」で振興してきた、朝の体調管理シーンに沿った施策だ。「朝食シーンでの野菜飲料には体調管理のニーズが高い。その健康価値をブーストさせるため、プラズマ乳酸菌を加えた」(増田氏)。
野菜飲料にはβカロテンなどの栄養素が豊富に含まれており、野菜の機能と免疫機能の組み合わせは考えていたのか、との筆者の問いかけに対し、「野菜飲料として、免疫と別の機能とのダブルヘルスクレームは検討したが、あまりクレームが多すぎるとチャンスロスが起こるため、免疫訴求に絞った。ユーザーは野菜飲料を購入するときにパッケージなどで含まれる野菜量などを確認する傾向にあり『野菜飲料にはいろいろ入っていてほしい』というニーズに着目した」と増田氏は説明した。
キリンホールディングスよりプラズマ乳酸菌の供給を受け「すごい乳酸菌ゴールド プラズマ乳酸菌たれ付」を発売するタカノフーズ 執行役員営業推進部門の寺岡義政氏は「当社独自のS-903納豆菌と国産大豆を使用した納豆と、プラズマ乳酸菌が入ったタレが合わさった商品で、2年半前にキリンさんから提案を受け、開発に2年をかけた」と開発背景を語った。
納豆市場は健康意識を追い風に、販売個数は拡大傾向にある。さらにコロナの影響もあり、内食ニーズが伸長した。タカノフーズは2017年に「すごい納豆 S-903」を発売した。実売で約150円の中価格帯商品ながら、ヒット商品に成長した背景がある。 昨年、納豆業界はいっせいに値上げに踏み切ったものの、納豆にはまだまだ値ごろ感があるため、健康付加価値商品の需要を取り込めると同社はみている。
2年の開発期間を経て発売となった同品は、機能性関与成分の担保、商品特長を具現化する商品コンセプトを設定する上でハードルがあったという。同社はキリングループと共同開発し、プラズマ乳酸菌と納豆菌の両立を図り、商品特長を具現化するゴールドを基調としたコンセプトに落とし込んだ。
これまで飲料や青汁・ココア、ゼリーやチョコレートなど〝甘み〟を活かした商品が主流だったプラズマ乳酸菌含有商品において、〝塩味〟が主体の納豆を開発したことについて「プラズマ乳酸菌はくせがないので、タレの塩味を損なわずに味わいと機能の両立を果たせた」(寺岡氏)と振り返った。
「すごい乳酸菌ゴールド プラズマ乳酸菌たれ付」はタレにプラズマ乳酸菌を500億個配合し、2パックで機能を担保する。納豆だけでも食べ応えを感じられる大粒の国産大豆を使用し、ゴールドを基調としたパッケージで商品力をアピールする。東日本エリアで発売し2パックで希望小売価格255円、店頭販売価格は150円を想定しているという。
なお、9月1日時点でプラズマ乳酸菌のパートナー企業は11社、含有商品は17商品となっており(発売総数は57商品)。キリングループでは計40商品となっている。