15年連続で青汁売上げメーカーNO.1を目指す山本漢方製薬の山本整代表取締役社長は、大麦若葉粉末に乳酸菌をコラボした商品の売上げが上昇するとともに、今年デビューさせた三商品も好調に推移していることを明らかにした。山本社長は、「大麦若葉+乳酸菌の特徴は、大麦の味噌由来の乳酸菌を配合し、価格も安価なことが支持された」とする一方、新商品については、「競合品が増える中、当社独自の製造技術と特徴ある機能性素材を活用して国民の健康創造ニーズに対応し、今後もドラッグストアの利益商品を相次いで開発していく」と語っている。同社では、3年後の創設50周年に向けて様々な差別化商品の開発を計画し、今年7月には建設中の新工場を完成させ、11月に製造機器を導入、2025年4月から稼働させる予定だ。「2025年には、新工場で生産した商品がドラッグストア店頭を通じ販売される。これからも、国民の新しいヘルスケアニーズに対応した利益商品開発に全力を注ぎ提供したい」と山本社長は話している。青汁メーカー売上げトップの座を維持する山本漢方製薬。健康寿命延伸時代が到来した今、どのような差別化商品を開発し店頭に登場させるのだろうか。(取材・文◎流通ジャーナリスト・山本武道)
――健康寿命延伸時代の到来に伴い、国民の間にヘルスケアニーズが高まり、特にこのところ健康食品をめぐり商品の安全性や品質が求められていますが・・・。
山本社長 当社は、医薬品、健康食品の製造業としてお客様の“安全と健康づくり”のために、1977年の創業から一貫して“安全性と品質”にこだわり、東洋医学の考え方である「病気になる前から健康管理をしましょう」という“未病と予防”対策の重要性を呼び掛けてきました。
そして国民の皆様の間に高まる治療から予防ニーズへ、お客様に三つの約束をして取り組んできたことは、①商品に価格以上の価値を提供すること、②飽きのこない美味しさにこだわること、③お客様に喜んでもらう商品とサービスです。これらは、モノづくりの原点であり、お取引様にも安心して販売していただくためのキーワードでもあります。
――健康食品は、多くのドラッグストアが注目し、今や自店の利益確保になくてはならなくなっています。様々な商品の開発に力を入れてきた努力が実を結び、青汁売上げメーカーNO.1として躍進されています。その秘訣は?
山本社長 国民の皆様にお約束した三つのテーマを実践し、健康創造へ様々な商品を開発し、厳重な“安全性と品質管理”のもと、競合する商品が相次ぐ中にあって、差別化を工夫しドラッグストア業界に提供してきました。例えば大麦若葉粉末商品ですが、無農薬栽培の原料にこだわったことと、さらに需要の高い乳酸菌を配合しました。
大麦若葉粉末と乳酸菌のコラボ商品には、『乳酸菌 大麦若葉粉末』や国産オーガニックを採用した1日分のビタミン12種類と乳酸菌300億個が摂取できる国産野菜青汁『30種類の国産野菜+スーパーフード』がありますが、他社との差別化商品として売れている背景には、配合した乳酸菌にあります。
この乳酸菌ですが、実は名古屋にある味噌作りで著名な老舗メーカーのイチビキさんの商品作りに関心がありました。その理由は、日常の食生活を支える味噌づくりのためだけではなく、味噌に含まれる機能成分に関わる研究室をお持ちで、専門のスタッフが日夜、国民のための健康づくりに取り組んでおられたからです。
単なる味噌作りのための研究室ではなく、味噌に含まれる機能成分に着目され、国民の健康創造に寄与する成分を抽出した研究成果を、論文として発表されていました。イチビキさんが開発された乳酸菌は、味噌由来の腸まで届く乳酸菌YK-1です。当社ではイチビキさんとコラボして1包で500億個、てんさい糖・ビートオリゴ糖と水溶性食物繊維を組み合わせた画期的な商品をデビューさせました。
――売上げに寄与している今年、新発売した三つの商品ですが、どんな状況でしょうか?
山本社長 店頭に登場させた新商品の一つ、『ベジタブルきな粉プロテイン』ですが、大豆をはじめとして栄養豊富な大麦若葉粉末を加え、国産野菜22種とスーパーフード7種をバランスよく配合し、野菜の栄養素とタンパク質を効率よく同時に摂取できるのが特徴です。熱を出来る限りかけない製粉工程を実現し、きな粉風味を実現しました。きな粉としても美味しく食べられますし、ジュースにしたりしても飲めます。
二つ目が『PREMIUMどっさりダイエット茶』で、カラダの内側からキレイにスッキリしたい方の健康茶として開発しました。配合した成分のグリーンルイボスには、フラボノイドの一種のアスパラチンという特有の成分が含まれており、血糖、メタボ、抗酸化など機能性が期待されています。体感していただき、その良さが口コミで広がり、たくさんの女性たちから、お礼のメールが寄せられております。
三つ目の『ヨクイニン顆粒(第3類医薬品)』は、イボや皮膚の荒れに効果のあるヨクイニンを、高齢者や錠剤の服用が困難な方でも手軽に服用しやすいように顆粒の分包タイプにし、持ち運びにも簡単・便利なステックタイプにしました。愛用している91歳の私の母親ですが、肌は健康そのものでイボはなく、とても喜んでいます。CMで起用したいくらいです。飲料タイプでは、食生活の一環として服用していただきたいハトムギ茶もありますので、ぜひ店頭で推奨いていただければと思っています。
――ドラッグストア店頭での販売をサポートする武器として、ユニークなCMの放映がありますが・・・。
山本社長 青汁売上メーカーNO.1としてドラッグストア店頭での推奨販売をサポートする武器として、特に主力品の大麦若葉粉末は、タレントの原田龍二さんを起用しました。これまで様々なシーンのCMを制作して放映してきましたが、中でも原田ご夫妻に登場していただいているCMは大好評で、大麦若葉粉末の拡販に貢献しています。
一方、モナリザを起用したヨクイニンのCMですが、モナリザが涙を流しているシーンも、多くの人から話題を集め購買に結びついています。ハトムギの殻を破ると白い肉があり、この白い果肉を医薬品名でヨクイニンといい、イボ取りに有効で、肌をきれいにし、ニキビや吹き出物の出る人が常用されていますが、お茶としてもハトムギの需要が急増中です。私も幼い頃から愛用しています。
ーーCMの放映やドラッグストア店頭での陳列など販促活動も活発に展開されていますが、中でも製品パッケージ内にチラシとサンプル封入による販促も実施されていますが、固定客を増やすための効果的な活動ですね。
山本社長 当社では、ドラッグストアの固定客、また新規のお客様が固定客として再び来店していただくための販促活動を重視してきました。店頭で購入された医薬品以外の既存商品や新製品のパッケージに、購入を促す商品のパンフレットとサンプルを添付して入れていますが、次回来店時の際の指名買いに結びつきますし、抽選で景品が当たるような仕掛けもしていますから、販売店における来店頻度を増やすことにもなります。
むろんドラッグストアが制作し不特定多数の地域住民に配布した大量のチラシに当社製品が紹介され、購買していただければ、製品のパッケージ内のチラシを見ることによって、当社製品の購入に結びつく可能性はあるでしょう。しかしチラシによる販促策で大切なことは、不特定多数の人たちに配布し来店客を増やすことも大切ですが、商品を購入していただかねば意味はありません。店にとって一番大切な固定客(優良顧客)をいかに増やしていくかです。
当社が展開しているチラシ戦略は、いつも当社製品を愛用していただいているお客様に向けて実施しており、箱を開けるとチラシとサンプルが入っていて内容をその場で見ていただけるし、効果は抜群で長い間続けてきました。いつも当社製品を購入していただいているお客様への感謝の意味もありますし、何よりも健康情報や新製品の販促活動によって健康をサポートする商品を愛用していただき、健康づくりのお役に立つことができればと思い展開しています。
――これまでドラッグストアをはじめ販売店の利益確保に役立つ商品を、数多く開発されましたが、健康寿命延伸へ“未病と予防”をサポートする商品に対する国民のニーズは高まっています。これからの商品展開ですが・・・。
山本社長 多くの商品をデビューさせてきましたが、国民の皆様の健康づくりをサポートする商品は、これからも数多く開発していくのが当社の責務でもあります。その商品を生産する工場は現在9か所。医薬品製造業として、特に漢方を中心とした数々の医薬品、健康茶、そして健康食品などを生産してきましたが、医療の流れが治療から予防重視へと変革しつつあり、当社のモノ作りは健康をサポートする商品開発を、さらに強化してきました。こうしたことから、売上げは、おかげさまで前年同期比に比べて右肩上がりで上昇し増収・増益できています。
主力商品の大麦若葉粉末100%、この大麦若葉に乳酸菌をコラボさせてお腹の環境づくりにこだわった『乳酸菌大麦若葉粉末』など乳酸菌関連商品、食べる前のDIETとして人気の大麦若葉『食前青汁』、『コレステブロッカー』と『MCTオイル大麦若葉青汁』の機能性表示食品、さらに『桑の葉若葉粉末青汁100%』等々も売上げに貢献するなど、15年連続青汁売上メーカーNO.1を目指したい。
引き続き購買に結びつくCMを放映していきますが、処方箋調剤に取り組むドラッグストアや調剤薬局の待合室に置かれているデジタルサイネージを活用した販促も考えています。
商品開発ですが、今年の7月には建設中の新工場を完成させ、11月に製造機器を導入、2025年4月から稼働させ、2025年に向けて新しい商品をデビューさせることにしています。スタンバイ・している機能性表示食品もその一つですし、3年後の創業50年に向けて準備を進めているところです。
どんなに時代がデジタル化しようとも、モノ作りには人の存在は欠かせない。様々な生産機器を作動させるのにも人が関与する。その人作りに力を注ぐのが山本整社長である。新しい製品作りの際には、社長が新製品を考えて、スタッフがデザインを即考案する。まさに「あうん」の呼吸だ。
再三、愛知県小牧市の本社を訪ねているが、オフィスでも工場でも、働く人たちは来訪者を笑顔で迎えてくれる。笑顔を見て、いつも「ほっと」するのは、私だけではないだろう。”お客様の笑顔と健康づくり”をモットーとする山本漢方製薬の真髄は、ここにあると思う。
時折、山本漢方製薬の放映時間数十秒のテレビCMを見るが、いつも原田龍二夫妻のユーモラスなシーンに思わず見入ってしまう。その原田さんについて、こんな話を山本社長からお聞きした。
「実は、プロ野球の公式試合で当社に試合前の始球式の話が来ました。即原田さんに依頼したところ、『もし私が始球式で100キロが出なかったら私が罰ゲームを受けますが、もし100キロ出たら社長に罰ゲームをしてもらいます』となりました。原田さんに登場していただく日は6月22日(土)の中日対広島戦(バンテリンドーム ナゴヤ)で、試合開始は14時からですが、原田さんは密かに100キロ越えを目指して投球練習をしているようです」
罰ゲームは、果たして何か。聞きそびれてしまったが、ちなみに球場で始球式に挑む原田さんと山本社長とのユーモアあふれる会話のビデオが、Instagramで放映され話題になっているそうだ。