大木ヘルスケアホールディングスの「2024OHKI春夏用カテゴリー提案商談会」(会期:2月6~7日)が東京流通センターでスタートした。インバウンド再振興やフェムケアといった新たな需要に応じた売場提案、また人口減による労働力の低下および物流問題、高騰する医療費にも対応する新カテゴリー創造の最前線をレポートする。(取材・記事=中西陽治)
導入に構える大木独自の「快適生活」カテゴリー提案では、ドラッグストアで手軽に介護予防を実践できる「ドラ・トレ」が目を引く。「ドラ・トレ」はドラッグストアの休眠・余剰スペースに設置できるトレーニングスペースの提案で、地域顧客の介護予防と身体機能改善が図れる店舗への差別化を実現する。ジムやフィットネスといった身体機能強化の目的より前に位置する〝足腰に負担のない椅子からの立ち上がり方〟など、無理なく短時間で行える効率的なトレーニングの提案だ。温熱整体マシンや振動マシンなども取りそろえている。
指導・管理に特別なスキルは必要なく、店舗スタッフでもサポートが行える。また「ドラ・トレ」と連動した管理栄養士による栄養相談・関連商品の提案といった成功実例も披露されている。
「快適生活」カテゴリー提案では、野菜摂取度測定や脳年齢チェック、血管年齢測定といったチェック機器、ヘルスケア機器メーカー連動の〝物販につなげる健康チェック〟が幅広く紹介されている。
「園芸/ペット」のカテゴリー提案ではペットのヘルス&ビューティーを深耕。「愛猫様のお慶びアイテム」と銘打ちワンランク上のフードやオーラルケアグッズを紹介。アース・ペット社とバスクリン社がコラボレーションした愛犬用シャンプー入浴剤「ぬくりん」など、ペットにも家族と同じ快適さを与えるような高付加価値商品が注目を集めている。
園芸では、新規層でもチャレンジしやすい商品で、園芸を始めるきっかけを訴求する。プロトリーフ社の「培養土 カップヌー土(ド)ル」は日清食品とコラボしたインパクト大の商品で、カップヌードルに〝ちょい足し〟したい野菜を育てる、というコンセプトが響き多くのバイヤーが足を止めていた。
「医薬品」カテゴリー提案は、再び盛り上がるインバウンド需要に応じ、次にくるトレンド商品を「新神薬」とカテゴライズして紹介している。
「インバウンド 新神薬」では「サンテメディカルプラス12」(目薬)、「リンデロンVS」(皮膚薬)、「イボコロリ」(角質剥離剤)、「サロンパス」(湿布薬)、「アンメルツゴールドEX NEO」(肩こり治療薬)、「大木のリュウバン」(液体絆創膏)、「樋屋奇応丸 特撰金粒」(五疳薬)、「シナールEX pro 顆粒」(ビタミン剤)、「パパゼリー5」(栄養剤)、「正官庄」(滋養強壮薬)を台湾・香港・中国インバウンドに特化した多ヶ国語POPと展開例でアピールし、需要を獲得する。
「推し活×医薬品」提案では、前回の提案商談会で上がった「ぜひやってみたい。どうやって売場を作ればいいのか」という声にこたえ、推し活ケアの実例を披露した。内輪タイプのPOPや〝推し活応援‼といったフレーズを用い棚を彩り、生活者が推し活の際にどんな商品が活躍するかを一目でわかるように魅せる。
「コンタクト&補聴器」カテゴリー提案では、ドラッグストアでのコンタクトレンズ市場拡大を図るため「お試しレンズ」の有効活用例を掲示する。お試しカードを取る・承諾同意書に必要事項を記入・希望度数のレンズサンプルをもらう、という簡単3ステップで高度管理医療機器のコンタクトレンズをサンプル提供できるという販促を提案する。
また補聴器と併せて集音機との違いを紹介。聞こえのレベルに応じた悩み対応カテゴリー「きこえアシストコーナー」の棚割を推奨する。
「健康食品」カテゴリー提案では、野菜の価格高騰などで生じる野菜不足を青汁で補う販促を展開し、同時にサプリメントと組み合わせた多面的なフォローを勧める。
また、店舗機能を底上げする実例として、ツルハHD能力開発本部の「管理栄養士の活躍 注目!!現場レポートNo2」を紹介。店頭で行われているパーソナライズ化した栄養相談の模様や、チェーンストアでスキルの標準化が図れる「健康ナビゲーション」の活躍をレポートする。
大木独自の成功例として機能性表示食品「ロートV5」を目薬の棚とクロスさせたカテゴリー横断の取り組みが紹介され、取り組み開始後に平均151%伸長(出荷ベース)するという好事例も示されている。
「フェムケア」では、女性が自分らしく自己や社会と向き合えるよう、必要な正しい情報と適切な商品を繋ぐ役割を果たす。女性のライフステージを「はじめて世代」「大人になりたて世代」「戸惑い世代」「ゆらぎ世代」の4世代に定義し、各世代に起こりうる身体的トラブルやリアルな悩みに応じた商品やサービスの提供を行う。
言語化できない悩みや不調を感じつつも無かったことにしがちなトラブルを「あるある」で顕在化し、SNSや店頭販促物で発信するオリジナルキャラクター「miguちゃん」がフェムケアカテゴリーのアイコンとして機能している姿も注目だ。
「コスメ&バラエティ」カテゴリー提案では、美容医療など「若返り美容」の需要が高まっている傾向を察知し、セルフケア市場でも早期のアンチエイジングカテゴリーの展開を推奨する。トレンドとして「レチノール」「ナイアシンアミド」「バクチオール」といった美容成分から、スポットケアアイテムの提案に力を込める。
さらに美容QOL向上へ向け、消費者ニーズを満たす売り場を提案する。「タイパ」「コスパ」「スペパ」をキーワードに、従来の商品に新しい価値を付与する。例えば顔から体まで使えるスキンケアアイテムはタイパ(時間的効果)、朝夜両用の美容液はコスパ(費用対効果)、持ち運びに便利な個包装のサプリはスペパ(空間的効果)に優れる点などを各アイテムに加え、付加価値の向上を図る。
再びのインバウンド需要、フェムケア市場への台頭、高齢者の増加とアクティブシニア層育成への期待、レジャーや外出機会の復活など、生活者のニーズは目まぐるしく変化している。
時流をとらえ、その先を見据えた需要創造が披露される「2024OHKI春夏用カテゴリー提案商談会」。新たな市場発掘と既存市場の活性化につながる提案に期待の目が集まっている。