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機能性表示食品、22年市場は24%増の5,462億円
脂肪対策とストレス緩和などの商品がけん引

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、機能性表示食品の躍進が続き、複数のヘルスクレームを組み合わせたマルチヘルスクレームの展開にも注目が集まる保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)の市場動向を調査した。その結果を「H・Bフーズマーケティング便覧 2023 No.3 機能性表示別市場分析編」にまとめた。この調査では保健機能食品について脂肪低減やストレス緩和などのヘルスクレーム(健康表示、機能性表示)別、ダイエットや整腸効果などの訴求効能別、成分別に分類して最新の市場動向を捉えた。



2015年の機能性表示食品制度開始以降、サプリメントやドリンク類で商品が活発に発売され拡大が続いている。近年は話題性の高いヒット商品の発売や、特定保健用食品や一般食品・飲料から機能性表示食品への切り替えで市場が賑わっており、2020年に特定保健用食品の規模を上回った。

ヘルスクレームでは、生活習慣病やダイエットに関連する脂肪の需要が旺盛であることに加え、現代社会の悩みを反映してストレス緩和や睡眠、認知などを訴求した商品が伸びている。また2022年は複数のヘルスクレームを組み合わせたマルチヘルスクレームによる差別化にも注目が集まった。これによって需要開拓の幅が広がり、2022年の市場は前年比24.0%増の5,462億円が見込まれる。

明らか食品の規模は全体の10%未満にとどまるが、シリアルフーズやヨーグルトなどの新商品がみられ、伸長している。
ドリンク類は大型ブランドのリニューアルや新商品の投入が活発であり、ヒット商品になるケースもみられ、無糖茶飲料やドリンクヨーグルト、ノンアルコールビール・ドリンクまで多種多様な商品が発売されている。

サプリメントは機能性表示食品制度の開始当初から活発に商品展開が行われている。特定保健用食品では展開が難しく、メーカーの注力度も機能性表示食品に集中しているため、伸びが続いている。



特定保健用食品の市場は2018年に前年を下回り、その後は縮小が続いている。機能性表示食品制度が開始されてからは、特定保健用食品に注力する企業が減り、新商品発売が少ないことに加え、既存商品の機能性表示食品への切り替が進んでおり、2022年の市場は前年比6.0%減の2,860億円が見込まれる。
 
明らか食品はヨーグルトやガム、納豆などが発売されている。2021年に一部商品がプロモーション展開によって伸びたことから前年を上回ったが、2022年は再び縮小するとみられる。

ドリンク類が約60%を占めるが、近年は機能性表示食品への需要シフトや、メーカーの注力度低下によって減少が続いている。

サプリメントは注力する企業が少なく、特定保健用食品の商品数が限られる。2020年代に入ってからは大型の新商品もみられず、マイナスが続いている。



脂肪に関するヘルスクレームを含む機能性表示食品と特定保健用食品の合計を対象とした。機能性表示食品が約70%を占め、需要の高さから多くの商品があり、例年新商品も活発に発売されている。2022年の市場は前年比17.3%増の3,224億円が見込まれる。

近年は2019年の「お~いお茶 濃い茶」(伊藤園)や2022年の「伊右衛門 濃い味」(サントリー食品インターナショナル)などドリンク類の大型ブランドが機能性表示食品にリニューアルするケースがみられ、市場の拡大に大きく寄与している。

また、機能性表示食品は制度の特性上差別化が難しい面もあり、競合の激化に伴って複数のヘルスクレームを組み合わせたマルチヘルスクレームの展開が増え、訴求の幅が広がっている。2022年は糖や血圧、腸内環境とのマルチヘルスクレームやダイエット要素を強めた革新的なヘルスクレームに加え、筋力維持やエネルギー消費との新たな組み合わせや、5つのヘルスクレームを含む新商品も登場しており、今後はヘルスクレームの組み合わせによってどこまで需要開拓が進むかにも注目が集まっている。



特定保健用食品は存在せず、機能性表示食品のみの市場である。トリプルヘルスクレームのストレス緩和×睡眠×腸内環境と、単体のストレス緩和が主体となっている。

2019年にヤクルト本社、アサヒ飲料が商品を発売したことで本格的に市場が形成され、コロナ禍で関心が高まったストレスや睡眠に関する悩みに対応する商品として注目を集めた。特に「Yakult1000」、「Y1000」(ヤクルト本社)は品薄になる程のヒット商品として度々メディアでも取り上げられ、トライアル需要を獲得したことで、大きく伸びている。今後の伸びは鈍化するとみられるため、トライアル顧客の定着や店頭の回転率アップが課題である。

ヘルスクレームでは、ストレス緩和単独の需要は減少しているため、マルチヘルスクレームによって差別化を図る動きが活発である。特に睡眠や疲労感軽減は、ストレス緩和との親和性が高く、現代社会の悩みにも合致しており採用が多い。2022年には5種類のヘルスクレームを組み合わせた商品も登場するなど、メーカーは最適な組み合わせの試行錯誤を続けている。



乳酸菌を関与成分とした特定保健用食品、機能性表示食品を対象とする。ビフィズス菌は対象外としている。腸内環境に関するヘルスクレームが基本であり、2000年代は特定保健用食品のヨーグルトや乳酸菌飲料が主体の市場であったが、近年は機能性表示食品で乳酸菌を活用した多様な商品が発売されているため、2023年には機能性表示食品が特定保健用食品を上回るとみられる。

機能性表示食品は近年、「Yakult1000」、「Y1000」(ヤクルト本社)や「iMUSE」シリーズ(キリングループ各社)が、ストレス緩和×睡眠×腸内環境や免疫機能維持といった特定保健用食品にはない訴求によって需要獲得を進めたことから大きく伸びており、市場の拡大に貢献している。



<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

<調査期間>
2022年11月~2023年1月