ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

あすか製薬「女性のための健康ラボMint⁺」の取り組み

あすか製薬の取り組み

情報サイト「女性のための健康ラボMint⁺」を通じ
一般向けに女性の健康に関する情報を発信、QOL向上を目指す

あすか製薬ホールディングスの中核子会社・あすか製薬(代表取締役社長:山口惣大氏)が運営する情報サイト「女性のための健康ラボMint⁺」が、このほど開催された展示会・Femtech Tokyoで注目を集めた。同サイトは、幅広い年齢層の女性のQO L向上に役立つ情報が提供されており、治療だけではなく、予防や未病改善につながる情報も多く取り上げられているのが特徴だ。「女性のための健康ラボMint⁺」を立ち上げた理由と、同社の歴史や姿勢について取材した。(取材と文=佐藤健太)

「女性のための健康ラボMint⁺」 https://www.aska-pharma.co.jp/mint/

Femtech Tokyoで注目を集めたあすか製薬

なぜ医療用医薬品メーカーがFemtech Tokyoに?

あすか製薬・代表取締役社長の山口惣大氏

10月20日〜22日に東京ビッグサイトで開催されたFemtech Tokyoが、合計14,123名の来場者を記録し、盛況裡に幕を閉じた。会場内には、サプリメントや食品、化粧品、雑貨など女性向けのヘルスケア商材が数多く出展する中、ひときわ目を引き付けたのが、あすか製薬ホールディングスのブースだった。

同社の中核子会社・あすか製薬はホルモン製剤の医療用医薬品を中心に展開しており、創立100年を超える長い歴史と、そこで培われた技術力などで医薬品業界から厚く信頼されている。会場内を回っていた筆者は、その社名が目に入ってきた瞬間、「なぜ医療用医薬品メーカーが、Femtech Tokyoに?」と単純な疑問が頭をよぎった。

ブースにて、同社は、「当社は創立当初から長きにわたってホルモン製剤を研究・開発し、女性に寄り添う製品を提供し続けてきました。より女性が活躍できる社会を実現していくには、治療だけではなく、正しい情報を活用した予防領域も重要だと考えています。女性のヘルスケアについての悩みを抱え、情報不足で悩んでおられる方々も多くいます。当社は、そうした方々に向けた情報サイト『女性のための健康ラボMint⁺』を展開しています。今回、当社の取り組みを来場者の方々に知ってもらうためにも出展しました」と教えてくれた。同時に、「『女性のための健康ラボMint⁺』について、詳しく教えてください」と取材をお願いし、その日は会場を後にした。後日、正式な取材であすか製薬の本社を伺った。



100年以上、女性の健康と向かい合い続けてきたあすか製薬

情報サイト「女性のための健康ラボMint⁺」が誕生した所以を理解するには、同社の歴史を知ることが重要であると取材を通じて感じた。

あすか製薬は1920年に創立者・山口八十八氏が「帝国社臓器薬研究所」を創設し、動物の臓器から有用な医薬品を創出するという独創的な発想を持って、ホルモン製剤の研究・開発・製造・販売を開始したところを起源とする。その後、ホルモン製剤のパイオニアとして事業を展開し、発展。2005年にグレラン製薬と合併したことで「あすか製薬」が発足した。2021年にホールディングス制を導入し、関連企業を傘下に収めた「あすか製薬ホールディングス」が誕生したというのが大まかな歴史だ。

創立から100年以上もホルモン製剤と向かい合い、中でも産婦人科領域では、子宮筋腫治療薬などの幅広いラインナップによって、ライフスタイルの変化や女性のライフステージの変化に寄り添い続けてきた。こうした歴史を歩んできた同社は、女性のQOLを高めていくためには、病気になった後の治療も大切だが、日々の健康を守っていくことも不可欠であり、「知ることは、自分を守ること」という考えに辿り着き、2020年の創立100周年のタイミングで、情報サイト「女性のための健康ラボMint⁺」を立ち上げ、女性に関するさまざまな疾患やヘルスケアに関しての啓発活動をスタートしたのだ。

あすか製薬ホールディングスの山口隆代表取締役社長は、「女性のための健康ラボMint⁺」を立ち上げた際に、このようなメッセージを発信している。

「私たちは、1920年の創立以来、ホルモン製剤のパイオニアとして医薬品の創製・提供を続け、なかでも『女性の健康をサポートする会社』として、産婦人科領域に注力してまいりました。当社は、さらなる社会の発展のために、女性の健康とライフステージに応じた実り豊かな生活をサポートしていくことが、重要であると考えています。本年の100周年を機に、これを具現化するために立ち上げた組織が『女性のための健康ラボ Mint⁺』です。『女性のための健康ラボ Mint⁺』が女性の体と健康についての正しい情報を発信していくことはもとより、多くの女性のよりどころとなれるよう、さまざまな切り口から活動を展開していきたいと考えております」

ここまで書いてきたことが、あすか製薬が「女性のための健康ラボMint⁺」を立ち上げた大まかな所以だ。

正しい情報を必要な人に届ける大切さ

もともと「Mint⁺」は、「身」(ミ)や「未病」(ミビョウ)、「美」(ミ)のヒントとなり、活用することで「+α」になってほしいという由来を持つ。立ち上げから「未病」という分野も視野に入れているのも特徴的である。ネット上には数え切れないほどの情報があるが、中には間違っていたり、偏り過ぎている情報もある。同社は、医薬品メーカーとして長年取り組んできた研究の成果や実績を活用し、さらに産婦人科医が監修した「正しい情報」を発信していくことを大前提に運営しているため、閲覧者視点でも信頼度は高いといえる。

また、同社は「女性のための健康ラボMint⁺」を設立した狙いについて「一部には、今後の日本の医薬品市場は縮小していくという予測もあります。当社はホルモン製剤に特化した企業として業界内からの認知度は高いですが、市場がシュリンクしていけば企業の成長にも懸念が出てきます。そこでは、治療だけではなく予防や検査まで視野を広げた活動が不可欠となります。その取り組みのスタートがMint⁺です。当社は100年以上もホルモン製剤に注力し、特に女性ホルモン系の薬剤は多くラインナップしていますので、『女性の健康を支えるのは当社の使命』だと強く認識しています。情報が溢れている世の中で、『正しい情報』を、必要な人に届けて『知らなかった…』『もっと早く知っておけば…』という方を一人でも減らしたい。そうした姿勢でMint⁺を運営しています」と語る。

現在「女性のための健康ラボMint⁺」は、慶應義塾大学名誉教授・吉村泰典氏が監修した「知っておきたい女性のカラダと健康のこと」や、ABCクッキングスタジオ(ABCヘルスラボ)とタッグを組んだ「『食』からはじめる女性の健康推進プロジェクト」などさまざまなコンテンツで充実しており、あすか製薬の本気度がうかがえる内容となっている。

「当初Mint⁺は、性成熟期の方を対象とした情報サイトとしてコンテンツの充実を図ってきましたが、より幅広い方々からご利用いただきたいということもあり、中高生などの10代向け『Mint⁺ teens』を制作するなど啓発の幅を広げています。ライフステージが変わっても、継続的にMint⁺をご活用いただけるスキームとなっています」

さらに今後について、Femtech Tokyoを振り返りながら「私たちは医療用医薬品のメーカーですので、会場での製品提供はできません。来場者が立ち寄ってくださるか心配していましたが、結果的には当社の活動に興味を持っていただいた方々が想定以上でした。Mint⁺は、症状が辛かったり、不安をお持ちになっている方からウェブ検索を通じてご利用いただいているのですが、Femtech Tokyoでは初めて対面で皆さまとお話しができました。その中で、まだ女性特有の悩みに直面していない方々までMint⁺の存在が行き届いていないという課題が明確となり、こうした方々に届くような活動を今後さらに展開していきたいと思います」と展望する。

引き続き、あすか製薬、そして「女性のための健康ラボMint⁺」の取り組みに注目していきたいところだ。