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10代男女は生理を「理解したい・してほしい」

あすか製薬ホールディングスが「生理(月経)や女性のつらい症状に関する10代男女の実態調査」を実施した。同社はフェムテックを推進しており、2021年4月にESG委員会を設置し、同社事業との関係性や社会貢献の観点から17 のマテリアリティを特定。その中に「女性の健康への貢献」も盛り込まれている。グループ中核のあすか製薬は、産婦人科領域のリーディングカンパニーを目指しており、医療用医薬品の情報提供を通して女性医療に貢献するだけでなく、「女性のための健康ラボMint+」(https://www.aska-pharma.co.jp/mint/)から女性の健康に関する情報発信をするなど、女性ヘルスケアへの貢献に取り組んでいる。10月20日から22日まで東京ビッグサイトで開催された「Femtech Tokyo」にも出展していた。

生理に関する理解度とその情報源は?

●「生理(月経)に関する知識がある」と回答した10代男性は約4割
15〜19歳の男女300人(男女各150人)を対象に、「生理や女性のつらい症状」に関する実態調査を行いました。 まず、「生理の仕組みや働き」、「生理痛などのつらい症状」に対する知識があると思うかどうか聞くと、「知識がある」と 答えたのは女性では76.7%であったのに対し、男性は42.0%と半数を下回る結果となりました[図1-1]。

また、「生理の仕組みや働き」「生理による症状」に関する情報入手経路として多いものは、女性では中学校・小学校の授業 (70.7%、59.3%)、インターネット検索(41.3%)、男性では中学校・高校・小学校の授業(66.7%、44.0%、38.0%)となり、 学校教育、特に中学校が大きなウエイトを占めていることが分かりました。男性よりも女性の方が情報入手経路は多く、 特に「母親」、「生理管理アプリ」、「インターネット検索」などの項目で男女の回答にギャップが生じています[図1-2]。この点では、前回の成人男女を対象とした調査とは異なり、10代ならではの結果が出ました。


生理痛などのつらい症状と実情は?

●「腹痛」「イライラ」「体がだるい・疲れやすい」など、10代女性の9割以上がつらい症状を感じている
生理痛などのつらい症状を感じる10代女性は92.0%にのぼりました。前回の成人男女を対象に実施した調査では、 生理痛などのつらい症状を感じる女性は67.3%であり、10代女性の方がつらさを感じていることが分かりました。 10代女性が感じる具体的な症状として、「腹痛」(73.3%)、「イライラ」(60.0%)、「体がだるい・疲れやすい」(46.7%) などが多く挙げられました。一方で、10代男性に対し「周囲の女性につらい症状があるかどうか知っているか」聞いたところ、 「腹痛」、「イライラ」などの症状があるとの回答が多かったものの、24.7%は「つらい症状があるのかどうか知らない」と 回答しました。[図2-1]。


●「生理中の腰痛」「生理前の症状」に対する男性の認知は低い
「生理に関する知識がある」と回答した男女のうち、「生理中に腹痛が生じる」、「症状の有無・程度には個人差がある」と いった知識は、男女ともに認知率が高く、「排卵が起こらなくても生理がくることがある」ということは男女ともに認知率が 低い(女性39.1%、男性28.6%)ことが示されました。[図2-2]。 一方で、男女で認知率に差があったのは、「生理中だけでなく生理前などにもつらい症状が起こる」(女性80.9%、男性 63.5%)、「生理中に腰痛が生じる」(女性78.3%、男性52.4%)といった項目でした。


生理痛などのつらい症状への対処方法は?

● 生理痛などのつらい症状への対処方法は「体を温める」「休養を取る」「市販薬を飲む」が主流
10代女性が取り入れている生理痛などのつらい症状への対処法 として 、「体を温める」 62.0%) 、「休養を取る 」 47.3%)、「痛み止めなどの市販薬を飲む」(45.3%)、「たくさん寝る」(43.3%)が上位に挙げられました。一方で、医療機関で処方される薬で対処する18.0%、「特に対処しない」との回答も16.0%ありました[図3-1]。

● 10代女性の主な相談相手は母親や友人、医療機関への相談は1割以下
つらい症状の相談相手として、「母親」(62.7%)、「友人」(46.7%)を挙げる回答者が多く、身近な人を相談相手とする 傾向が見られました。「医師や医療従事者」へ相談する人は8.7%に留まりました[図3-2]。 また、相談相手に相談した結果、「気が楽になった、安心した」(57.1%)、「対処法が分かった」(30.3%)といったポジ ティブな回答が上位であった一方、「特に変わらない」(24.4%)という声もありました。


● 女性専門の医療機関に対してはポジティブなイメージ、ネガティブなイメージが混在している
10代女性に対し、産婦人科など女性専門の医療機関に対するイメージや考えを聞いたところ、「体について相談でき る・頼りになる」(41.3%)、「自分の体を知り、ケアするために必要である」(36.0%)などのポジティブな考えがあると 同時に、「恥ずかしい」(38.0%)、「なんとなく怖い」(28.7%)、「オープンな話題にしにくい風潮」(25.3%)などのネガ ティブなイメージも併せ持っていることが分かりました。[図3-3]。



生理痛などのつらい症状への理解とハードル

● 10代男女ともに、生理痛などのつらい症状を「理解したい・理解してほしい」と思っている
10代女性に、生理痛などのつらい症状を男女で理解してほしいか聞いたところ、「男女ともに理解してほしい」と回答 したのは84.7%に上り、「女性に理解してほしい」(4.0%)、「男性に理解してほしい」(3.3%)と合わせると、92.0%が理 解を求めていることが分かりました。[図4-1] また、10代男性に、女性の生理痛などのつらい症状を理解したいか聞いたところ、45.3%が「理解したい」31.3%が 「やや理解したい」と回答し、10代男性の76.7%が「理解したい」と考えていることが分かりました。[図4-2]


●理解を妨げるハードルのトップは「オープンな話題にしにくい風潮」
● 男性は「情報の見つけづらさ」「調べることへの恥ずかしさ」も感じている

10代男女に「生理痛などのつらい症状についての理解を深め、社会に理解を広める上で、何がハードルになっていると思うか」聞いたところ、男女ともに「オープンな話題にしにくい風潮」(女性45.3%、男性51.3%)という回答が最も多く上がりました。次いで、女性では「男性がつらい症状を理解しようとしないこと」(41.3%)、「つらい症状がない女性が、 つらい症状のある女性を理解しようとしないこと」(39.3%)、「つらい症状は我慢するものだという考え」(36.7%)と続 く の に 対 し 、 男 性 で は 「適切な情報源の見つけづらさ」(40.7%) 、「男性がつらい症状を理解しようとしないこと」 (31.3%)、「情報を積極的に調べるのは恥ずかしいイメージ」(31.3%)となり、男女それぞれにとっての“ハードル”が 浮き彫りになりました[図5]。