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帝人ソレイユ、胡蝶蘭の回収・再利用サービス開始

資源循環と障がい者雇用を通じたサステナブルな贈答文化創出

帝人株式会社(内川哲茂社長)の特例子会社(*)帝人ソレイユ株式会社(古川寛社長)が、枯れた贈答用胡蝶蘭を回収し、リユースおよびリサイクルするサービスを9月11日より本格的に開始する。日本国内の特例子会社でリユース・リサイクルまで担う胡蝶蘭の回収・引取サービスを展開するのは、帝人ソレイユが初めてとなる。

(*)「障害者雇用の促進等に関する法律」に基づき、企業が障がい者雇用を目的に設立する子会社のこと。

1.背景・経緯
1)
帝人ソレイユは 2019 年に設立された帝人の特例子会社で、現在は41名の障がい者が勤務している。帝人グループの国内拠点におけるオフィスサポート事業や、農産物を生産・販売する農業事業を展開し、2020年10月からは、障がい者の雇用機会と収益の拡大を図るため、千葉県我孫子市にある自社農場「ポレポレファーム」で胡蝶蘭の生産・販売を開始している。

2)胡蝶蘭の生産には、水やりのような単純な作業から最終製品の「仕立て」などの複雑な作業まで、多様な工程がある。帝人ソレイユは、各従業員のハンディキャップや特性を活かせる業務をそれぞれに割り当てることで、高い生産性のみならず、市場平均よりも高単価で取引される高品質を実現している。また、この取り組みは 2022 年に農林水産省「ノウフクアワード」を受賞するなど、障がい者雇用のモデルケースのひとつとして評価を受けている。

胡蝶蘭生産の様子(水やり作業)
帝人ソレイユの胡蝶蘭

3)胡蝶蘭の贈答は日本の慶弔文化として根付いている一方、1~3カ月ほどの観賞期間を過ぎた後は廃棄されてしまうのが一般的。贈答用胡蝶蘭は陶器やプラスチック製の鉢、金属製の支柱、枯れた植物部分など様々なパーツで構成されているため、分別の手間や、産業廃棄物としての処分費用がかかり、贈られた側の負担になるという課題がある。また近年では、贈答製品においてもサステナビリティが求められており、胡蝶蘭の資源再活用に対する関心が贈る側・贈られる側の双方から高まっている。

4)こうした課題に対し帝人ソレイユは、枯れてしまった胡蝶蘭を贈答先から回収・分別し、再利用するサービスを日本の特例子会社として初めて開始する。まずは東京都全域と、神奈川県の横浜市および川崎市の一部区域を対象地域としてスタートし、自社の胡蝶蘭を納品した贈答先から他社製品を含めて1鉢あたり3,300 円(税込)で回収する。回収した胡蝶蘭は自社農場「ポレポレファーム」で焼却し、その灰を自社農園において野菜栽培用の肥料として活用するとともに、鉢や金属製の支柱などの部品はリユースまたはリサイクルする。

5)贈答先での廃棄負担を軽減するとともに、廃棄される胡蝶蘭を資源として循環させることで、日本独自の慶弔文化である胡蝶蘭の贈答がよりサステナブルなものとなり、障がい者の雇用拡大にもつなげる。贈る側・贈られる側の双方にとって心地よい贈答体験を提供していく。

胡蝶蘭を処理するための専用焼却炉
胡蝶蘭の焼却灰を肥料として活用