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マスク着用、今はどう変化した?/Fromプラネット第233号より

2023年5月に新型コロナウィルスが第5類感染症に移行されてから2年余り。街中がマスク姿であふれていた頃から、少し様相も変わってきた。日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (坂田政一社長)が毎月発表しているFromプラネットの今回(233号)は、マスクに関する意識調査(対象4,000人)。5類以降後の今も約6割が着用している実態が明らかとなり、どこでつけているのか、またどこで着用して欲しいのかなど、生活者の思いも浮かび上がってきた。

基本的なこととして現在、外出の際にマスクを着用するかをたずねた結果が図表1。「必ず着用」が34.0%、「着用することが多い」26.9%と、程度の差はあれ約6割の人がマスク着用の生活を続けていると回答。かたや「新型コロナ時は着用していたが、今はしない」と、5類移行を機にマスク生活に別れを告げた人が約2割、「新型コロナまん延前から着用しない」は4.9%だった。


表1


依然マスク派が多数派の中、1年前と比べたマスク着用頻度の変化をたずねたところ(図表2)、51.6%と半数強が「同程度」と回答。また6.3%が「増えた」(「とても」+「やや」)としており、周囲に着用しない人が増えたため、自衛の意味で着用頻度を上げたと推測できる。年代別では(図表非掲示)、「1年前からしていない」は男性30~50代、女性20代で17~20%台と全体に比べて高位だったが、70代以上では男性6.8%、女性5.1%と、男女とも全年代で最低に。なお「増えた」が19.1%と最も高かったのは意外なことに20代男性だった。


表2


外出時にマスクを着用する理由としては(図表3)、「新型コロナなどウイルス感染予防のため」と「風邪やインフルエンザ予防のため」が67%台に。次いで「その他の感染症や病気、アレルギーの予防・対策のため」43.6%、「花粉症対策のため」37.7%となった。5位は「咳やくしゃみの症状があるときに周囲への配慮のため」(34.8%)がランクイン。コロナ禍以降、周囲の人の咳やくしゃみに敏感になった風潮も背景にありそうだ。

男女別では傾向に大きな差はないが、女性で「風邪やインフルエンザ予防のため」が僅差ながらトップになったのは、意識の変化の現れかも。またランク外では、「メイクや髭のケアの手間を省くため」「口元を隠すため」「外すのが恥ずかしいから」が女性で各21.4%、15.6%、10.7%と比較的高値だった。


表3


外出時にマスクを着用する場面については(図表4)、83.8%と最も多くの人が挙げたのが「病院、クリニック」。マスク着用を義務付けている施設が多いことを反映して、通院頻度が高まるシニア層の女性60代と男女70代以上で9割超になった。これに、電車やバスなど「公共交通機関の車内」61.7%、スーパーなどの「商業施設内」59.7%、「屋外で混雑している場所」53.9%が続いた。

不特定多数の人が多く集まる屋内や、屋外でも人が多い場所では半数以上がマスクを着けているが、同じ屋内でも、映画館など「屋内の娯楽施設」が「商業施設」より20ポイント以上低いのは、作品鑑賞中はしゃべることがないので不要と考えてのことか。各項目で全般に女性を中心としたシニア層が高値を示す中、男性30代の50.8%を筆頭に50代以下で4割超となったのが「職場、学校」というのは納得の結果。


表4


人にマスクを着用してほしい状況・場所では(図表5)、「風邪をひいている人」「病院やクリニックへの来院者」のほか、風邪や花粉症以外で「くしゃみや咳が出る人」「体調が悪い人」が過半数に。性別でみると、図表4と同様に男性は周囲のマスク着用に対して寛容な傾向にある一方で、女性は50代以上を中心にマスク着用に対し依然として厳しい目を光らせているようだ。


表5


マスク購入時に何を重視するのか、マスク不足が叫ばれていた2020年8月調査の結果と比較しながら変化をみてみよう(図表6)。トップは2020年も今回も「価格」で、比率もともに55%台。毎日使う人も少なくないことから、価格は重視せざるを得ない面がある。かたや2020年2位の「花粉やウイルス、粉塵の除去性能」と3位の「息苦しくない」は、今回は9位と7位に順位を下げたうえ、比率も各28.8・14.0ポイント低下した。5年前に比べ感染の危険性が緩まったことや、コロナの5類移行で終日マスクを着用することが減ったことなどが背景にありそうだ。

一方、「耳が痛くならない」は6位→3位に順位を上げたうえ、比率も3ポイント上昇した。マスクが店頭に十分にストックされ商品のバリエーションが豊富になった現在は、より快適性を求める人が増えているのかも知れない。前回調査では選択肢になかったが、「素材」「形状」「色」が10位内であるのもの同様の理由かも知れない。


表6


図表2で1年前と比べてマスクの使用頻度が「やや減った」「とても減った」および「1年前からマスクは着用していない」と回答した人に、マスクをしなくなった、あるいは着用頻度が減った時期をたずねたところ(図表7)、「1年くらい前から」と「コロナ5類移行(2023年5月)~1年前」がそれぞれ41.1%・39.4%と拮抗。5類移行を契機にマスク生活と決別した人、周囲の様子をうかがいながらマスクを外した人、徐々に着用を減らしていった人――いろんなケースが考えられる。また、コロナがまん延していた時期とコロナ禍前からマスクをしていなかった人も、各約1割いた。

性年代別でみると、「新型コロナのまん延以前から」が男女とも20代が各30.6%・24.3%で最多で、年代が上がるほどその比率は低下する傾向がみられる。かたや、「1年くらい前から」は逆に年代が上がるほどに上昇する傾向があり、男女とも70代以上では半数以上となった。また、「1年くらい前から」と「コロナ5類移行~1年前」の比率を各年代で比較してみると、女性は全年代で前者のほうが高いが、男性では30代~60代では後者のほうが高率に。働き盛りの男性はマスクを外せる日を待ちわびていたのかも知れない。


表7


マスク着用の“過去”と“現在”に続いて“未来”もみてみよう。今後のマスク着用の意向についてたずねたところ(図表8)、「外出時は積極的に着用」(38.4%)と「季節や状況によって、自分の判断で着用」(36.6%)がほぼ同率で、程度の差はあれ、3分の2の人が今後もマスク着用を継続する意向のよう。また、「積極的に着用しないが、周囲に着用する人が多ければ着用」と、周囲の状況次第で着用する人も10.7%にのぼり、「季節や状況に関係なく着用したくない」(以下、「着用したくない」)と、かたくなな態度を示すのは14.3%となった。性年代別にみると、「着用したくない」は男性40代以下と女性20代で2割を超えているが、女性50代以上では1割以下どまり、対極の「外出時は積極的に着用」は男性全年代と女性40代以下は3割台だが、女性50代以上では4割台、同70代以上では49.8%とほぼ半数と、マスク着用意向が高いようだ。


表8


以下は、コロナ5類移行後のマスク着用の変化や、マスクについて感じることなどの自由解答の結果。現在のマスク着用は個人の判断に委ねられているため様々に対応している回答が想像できたが、「若者はマスクをしない」「シニア層はマスクをし続ける」と、ひとくくりに論じることができないことがわかり、マスクの必要性を感じるシーンに遭遇した経験を示した人もいた。今後のマスクとの付き合いかたは、他者への配慮と寛容さが必要かも知れない。

【マスク着用を継続】
● 5類だとしても、せっかく身についたいい習慣だと思ってマスクはして外出しています。(女性・20代)
● 風邪をひいていてもマスクを着けない人が増えてきたので自衛のため電車など逃げ場のない人混みでは必ず着用したいと思っている。また、マスク期間に始めた歯列矯正が終わるまでは、おそらくマスクを外したいとは思わない。(女性・30代)
● コロナが終息したとしても油断出来ないため一生マスクと共に生きるものと覚悟を決めている。(男性・40代)
● コロナ前に気にしなかったことが気になるようになり外せないと感じている。口臭や会話するときの飛沫などを気にするようになった。(男性・50代)

【マスクなしの生活に移行】
● マスクをすると化粧が落ちて嫌だったのではずせて嬉しい。子どもにもさせなきゃいけない雰囲気でそれも嫌だったが、今は過ごしやすい。(女性・30代)
● マスクを強制されるのが本当に苦痛だしイライラしたので、コロナ5類になってから一切つける気がなくなった。(女性・40代)
● マスク無しで会話した方が表情もわかるし、変化にも気づきやすい。声も聞き取りやすいし、マスクがない生活が本当は理想だと思う。(女性・40代)
● マスクをしていた時は顔が肌荒れして嫌だったが、今は肌荒れも治り快適である。(男性・50代)

【マスクの必要性を感じたことも】
● コロナ禍は終息したものの、油断して再度の感染をしました。普段は健康体なのに症状が強く出る体質なので、マスクでの予防は必要と感じている。(女性・50代)
● 咳をしている人に限ってマスクをしていないのが気になる。ずっとマスクをつけているのに、5類移行後にコロナに2回罹患し、マスクをしている自分がバカをみたような気分にもなった。移行前に罹患しなかったことからすると、ほぼ全ての人がマスクをしていたことの効果は大きかったと考える。(男性・50代)

【意識面などの変化も】
● マスクは本当にしない派だったのですが、コロナ禍で慣れて、化粧しないで出かけるのに便利だなと思う。ちょっとそこのスーパーまでというときは、マスクをつけて出かけることがすごく増えた。(女性・40代)
● 正直言うとマスクするのは面倒くさいが、母の介護関係のケアマネさんやヘルパーさんの皆さんが着けているので仕方なく着けている。付き添いで病院や薬局に行くときも着けていないと中に入らせてもらえない。コロナ前はそんなことなかったのに、面倒くさい時代になったと思う。(女性・50代)
● コロナでマスク生活に慣れてしまったせいか、マスクをしていないと空気中の埃や些細な臭いを感じるようになってしまい、今でも外出時にはほとんどマスクをつけている。(女性・50代)
● コロナ前に比べてマスクのつけ心地は良くなっている気がする。マスクをして歩いていた時期が長かったためか街中を歩いている時にマスクをしてない顔を見られるのが少し恥ずかしく感じる時が増えた。(男性・20代)
● 以前は、マスクは表情を隠すので失礼なものと思っていたが、最近はマスクをしないと失礼に思うようになってきた。(男性・70代以上)

調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「マスク」に関する意識調査を実施。
期間:2025年4月28日~30日、インターネットで4,000人から回答を得ています。

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