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フマキラー殺虫液 並びに ベープが化学遺産に

「世界に先駆けた家庭用殺虫剤の展開」として認定

(公社)日本化学会(丸岡啓二会長)が実施する第16回化学遺産認定事業において、フマキラー(大下一明社長)が発売した世界初の液体殺虫剤「フマキラー殺虫液」、および世界初の電気式蚊取り「ベープ」が、現在の家庭用殺虫剤の先陣を切って開発された画期的製品であることを認め、「世界に先駆けた家庭用殺虫剤の展開」として化学遺産(認定化学遺産第071号)に認定された。

日本化学会は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用推進に向け、2008年度に化学遺産委員会を設置し、さまざまな活動をしてきた。「化学遺産認定」は、それら歴史資料の中でも特に貴重なものを認定することで、文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上および化学工業の発展に資することを目的とした取り組み。第16回はフマキラーを含め5件を認定している。

詳細は日本化学会のWEBサイトで(https://www.chemistry.or.jp/know/heritage/


<化学遺産に認定された
「世界に先駆けた家庭用殺虫剤の展開」>

フマキラー殺虫液(左)と使用状態にセットした霧吹き器

フマキラーの創業者・大下大蔵(おおしも だいぞう)は、1914年に除虫菊の研究に着手し、世界に先駆けて除虫菊を主成分とする殺虫液を開発し、1920年頃までに製造販売を開始。これは、乾燥した除虫菊から石油によって殺虫成分を抽出した世界初の殺虫液である。

霧吹き器を付けて息を吹き込むと殺虫液が霧状に散布される仕組みの家庭用殺虫剤製品として売り出し、国内、海外に取引を拡大して大成功した。現在殺虫剤製品の主流となっているエアゾールスプレー式につながっている。

電気式蚊取り「ベープ」

明治中期に日本で発明された蚊取り線香は家庭で広く使われてきたが、火事の心配、煙への不満もあった。フマキラーは、戦後開発が進んだ合成ピレスロイドを使用し、世界初の電気式蚊取り「ベープ」を1963年に完成させた。これが蚊取りの歴史を変える爆発的なヒットとなり、現在のコンセントなしで場所を選ばず使える電池式蚊取り「どこでもベープ」(2000年発売)、火も電気も電池も使わないワンプッシュ式蚊取り「おすだけベープ」(2008年発売)につながっている。