「秋が暖かかったため、今年の感冒薬の立ち上がりは厳しいものとなった」。そう語るのはドラッグストア勤務歴25年のベテラン店長だ。12月に入り全国的に冷え込む日が続き、販売動向は徐々に復調傾向にあるが、本来ならば11月上旬から本格的に動き始めると見込まれた計画に対し、進捗率は厳しい状況にあるという。
OTC感冒薬といえばドラッグストアには欠かせない季節商材であり、客単価・営業利益に大きな影響を与える。この販売動向は当然ドラッグストアの業績に直結するため、ドラッグストア企業では「どのように感冒薬の不振を埋めるか?」とさまざまな議論がなされている。
そこで注目を集めているのが、花粉症やハウスダストによるアレルギーに対応するアレルギー性鼻炎薬だ。アレルギー性鼻炎薬を販売する上で、特に滑り出しにおいて肝要となるのが、いかに早期に売り場を形成していくかである。
日本気象協会によると、今期の花粉飛散開始時期は例年並みで、2月上旬に九州、四国、中国、東海、関東の一部で、2月中旬には関東以西の広範囲で、北陸と東北南部は2月下旬、東北北部は3月上旬から中旬にスギ花粉シーズンがスタートすると予報を出している。
ただ、この時期を狙っての展開では遅すぎる。エアコンを主力品とするダイキンが展開するストリーマ研究所の「全国の花粉症ユーザーに聞いた『私はこの対策をしています!』」と題された調査では、花粉が飛散する1ヶ月前に対策をしている人が35%にもおよんでおり、飛散前の対策に関してのニーズが非常に高いことが読み解ける。
前述の通り、2月上旬から花粉シーズンが始まるならば、少なくともその1ヶ月前には売り場展開すべきであり、可能ならば2024年内に少しずつ売り場を形成し、生活者に“花粉飛散の到来”というシーズンを意識付けていく必要がある。早期に花粉対策をしたい層に、気付きを与え、支持を得ていくことがアレルギー性鼻炎薬の滑り出しに多大なる影響を与えていく。
Hoitto! ヘルスケアビジネスが以前から注目しているのは、アレルギー性鼻炎薬をはじめとする鼻炎全般に対応する製品を数多く世に送り出している佐藤製薬の製品群だ。同社は「ナザール」ブランド、「ストナリニ」ブランド、「ナシビン」ブランドなどを展開し、1つのメーカーで多種多様の使用シーンや剤型、使用感などのニーズに対して幅広く対応できるラインナップを有しており、鼻炎薬のプロフェッショナルと言える企業だからだ。
まず注目したいのが「ナザールGスプレー」と「ナザールGスプレー クール」(いずれも第2類医薬品)。2023年11月に上市して以来、花粉シーズンに限らず通年商品としても、多くのドラッグストアと生活者に支持を広げている製品でもある。
「ナザールGスプレー」は、既存品の「ナザール『スプレー』」に炎症反応を抑えるグリチルリチン酸二カリウムを新配合した強化処方の点鼻薬で、グリチルリチン酸二カリウムは、炎症誘発物質の産生・放出を抑制し、効果的に鼻水・鼻づまりなどの症状を抑える。
また従来品から引き続き、鼻づまりを改善するナファゾリン塩酸塩、鼻水を抑えるクロルフェニラミンマレイン酸塩、鼻粘膜を清潔に保つベンザルコニウム塩化物も配合しており、つらい鼻づまり・鼻水に4つの成分が働き効果を発揮する。さらに処方だけではなく、ポンプを改良した新たな容器「ファインミストノズル」を採用しており、きめ細かいミスト状の薬液が鼻腔内の炎症部位に効率よく広がる。
「ナザールGスプレー クール」は、l-メントール(香料)配合したクールタイプで、使用感が異なる2タイプをラインナップすることで、ユーザーのニーズに合致した製品を選ぶことができる。
花粉症などの季節性アレルギーに特化するのは、アンテドラッグステロイド配合の「ナザールαAR0.1% <季節性アレルギー専用>」と、そのクールタイプの点鼻薬「ナザールαAR0.1%C <季節性アレルギー専用>」(いずれも指定第2類医薬品)だ。
有効成分であるベクロメタゾンプロピオン酸エステルが持つ、抗アレルギー作用や抗炎症作用などにより、花粉による鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状に優れた効果を発揮する。
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは、全身性の副作用が起こりにくいアンテドラッグステロイドであり、患部で作用した後、速やかに分解される。また、1年間に3ヵ月まで使用できるため、スギ花粉などの飛散シーズンをカバーすることができる。
アレルギー性鼻炎の内服薬を語る上で重要なのは「ストナリニ Zジェル」「ストナリニS」だろう。
鼻炎用内服薬「ストナリニ Zジェル」(第2類医薬品)は、第1世代抗ヒスタミン成分と比較して眠くなりにくい第2世代抗ヒスタミン成分のセチリジン塩酸塩を液状化し、飲みやすいソフトカプセルに充填している。素早く溶け出すことで、花粉などによるつらいアレルギー性鼻炎症状に作用する特長を持つ。
セチリジン塩酸塩は抗ヒスタミン作用だけでなく、抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有するためつらい症状を速やかに抑え、さらにその効き目が長く続く。特に花粉などによる季節性のアレルギー性鼻炎症状に使用する場合は、症状が出始めたら早めに服用すると効果的だという。
1日1回1カプセルで24時間高い効き目が持続するが、就寝前に服用することで朝症状が最も重くなる時間帯の鼻炎症状をしっかり抑制することができる。
一方「ストナリニS」(第2類医薬品)は、第1世代の抗ヒスタミン剤であるクロルフェニラミンマレイン酸塩(アレルギーによる鼻づまり、鼻水の緩和)と血管収縮作用があるフェニレフリン塩酸塩(鼻づまりの緩和)、副交感神経遮断薬のダツラエキス(鼻炎の改善)の3つの有効成分を配合し、「今つらい症状」をケアする製品だ。
さらに胃で溶ける外層と腸で溶ける内核の二重構造であるため、1日1回1錠でも作用が長時間持続する特長を持っている。
今シーズン、要指導医薬品から第1類医薬品に移行し、取り扱い店舗が増加しているのが「ナシビンメディ」だ。
独自成分である持続型血管収縮成分「オキシメタゾリン塩酸塩」と抗ヒスタミン成分「クロルフェニラミンマレイン酸塩」を日本ではじめて組み合わせた、鼻づまり、鼻水、くしゃみに効く持続性点鼻薬で、即効性と持続性を両立し、1日1~2回の使用で素早く長く効く。運転中や作業中、就寝前など速やかに症状抑えたいときだけでなく、仕事中など1日に何度も使うことができないときにも推奨できる。
本稿で紹介した製品以外にも、佐藤製薬は鼻炎薬や鼻炎関連製品を多く持っており、同社には「自分はどの製品を使えばいいのだろうか」という問い合わせがあるという。ドラッグストアに勤務する人材も全てを理解するのは難しいかもしれない。
だが同社は、こうしたニーズに対応するために「佐藤製薬の点鼻薬サイト」(https://www.nazal.jp)を展開しており、原因やニーズをクリックしていくと、同社製品群で最も、自身の症状とニーズに合致した製品を知ることができる。ドラッグストア関係者だけではなく、一般生活者も含め、ぜひ一度チェックしたいところだ。