10月4日(金)、5日(土)に「第17回OTC医薬品普及啓発イベント」“よく知って、正しく使おうOTC医薬品~今こそセルフメディケーション、さあ実践。~“が東京・神田明神で開催された。イベントはYoutube配信やQRコードのスタンプラリーなどデジタルを駆使しながら、リアル会場で体験、相談といったコミュニケーションを通じたセルフメディケーション普及啓発が繰り広げられ、リピーターはもちろんセルフケアに興味がある初めての来場者も含め大いに盛り上がった。(取材=中西陽治)
「第17回OTC医薬品普及啓発イベント」は日本一般用医薬品連合会、東京薬事協会、東京生薬協会、東京都医薬品登録販売者協会の4団体が主催。主に一般市民を対象に、セルフメディケーションにおけるOTC医薬品の役割や、正しい知識・使い方などの普及啓発を図り、国民の保健衛生の維持向上を目指すイベントだ。会場は東京・神田明神の神田明神文化交流館で、3ホールにわたり、出展企業ブースコーナー、商品プレゼンテーションといった企業のアピールから、検体測定室や健康チェックなどセルフケアのヒントが披露された。
「第17回OTC医薬品普及啓発イベント」実行委員会の実行委員長である藤井隆太氏(龍角散社長)が、関係者が集う開会の挨拶に登壇。世界に誇る日本の国民皆保険制度を守るために医療にかかるコストを抑える必要があるとし、「今こそ〝セルフメディケーション〟であり、自ら健康になるための活動を推進していくべき」と掲げ、OTC医薬品を正しく使う健康リテラシー向上の重要性を語った。続いて来賓挨拶に、前厚生労働大臣の武見敬三氏、東京都知事の小池百合子氏、千代田区長の樋口高顕氏、東京都薬剤師会会長の髙橋正夫氏がメッセージを寄せ、セルフメディケーション推進による医療費抑制に期待を寄せた。
スペシャル講演では東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が登壇し「セルフメディケーションとそれに果たすOTC医薬品の役割」について講演。医師の立場から、「例えばお医者さんにかかってお薬をもらえば風邪が治る、というのは間違い。限られた医療リソースを守るために、特に若年層は軽度の疾患は自ら防ぎ、ケアしていく考えをもってほしい」と語った。
出展企業ブースでは各社がOTC医薬品やセルフケアに役立つ情報の提供を行い、開場直後にはすれ違うのも難しいほどの大盛況となった。
また、イベントではサンプルがもらえるQRコードのスタンプラリーも催され、筆者が来場者にインタビューしたところ「初めて知ったお薬が、昔から愛用されている薬だと分かりとても信頼できるものなんだと思いました」(50代夫婦)と話してくれた。また30代の女性は「歴史が好きなので来ました。昔の人はどうやって病気を治していたんだろうって。薬を作っている人に直接聞ける機会はあまりないのでためになりました」と満足そうに笑った。
OTC医薬品啓発イベントではおなじみとなった各社のゆるキャラが会場を回り、由緒ある神田明神で2ショット写真を撮るなど、あらゆる接点でセルフメディケーションを啓発。ゆるキャラが大好きな来場者は「ゆるキャラのSNSをフォローしていてこのイベントを知りました。お医者さんでもらう薬とドラッグストアで売っている薬に違いがあるのを初めて知ったので、ドラッグストアや薬局で商品を見るのが楽しみになりました」と語る人もいた。
また、4階のステージでは各出展企業によるプレゼンテーションが実施され、Youtubeで生配信された。
神田明神文化交流館の地下1階では「EDOCCO STUDIO模擬薬店」が開かれ、検体測定室コーナーや健康チェックコーナーに長蛇の列がなされた。
検体測定室コーナーは2日間で200人の来場者に対応し、1日2回の開催時間には整理券が配られた。測定後の相談窓口の担当者は「会社に勤められている人は年に1回の健康診断を受けますが、主婦の方や忙しい方は『なかなか自分の体の調子を知る機会が無い』とおっしゃって測定を受けに来られます。中には『年に一度のこのOTCイベントで測定するのを楽しみにしています』という常連さんもいらっしゃいます」と話してくれた。測定を終えた参加者は「血液を採るというと注射で痛いイメージがありましたけど、今は痛くもなく簡単に終わるので技術の進歩はすごいですね。これなら定期的に受けたいと思います」と手軽さに喜ぶ人がいた。
商品サンプルを渡す引換所では医薬品登録販売者がOTC医薬品の使い方を丁寧に説明し、参加者もただ受け取るだけでなく「これはどういうときに飲めばいいの」「この薬は何年くらい歴史があるの」「店舗でも相談していいの」といった質問が飛び交っており、イベントのテーマである〝今こそセルフメディケーション、さあ実践〟が着実に広がっていると感じさせられた。