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厚労省・スイッチOTC WG「審査の改善方法について」を提言

9月4日、厚生労働省が要指導・一般用医薬品部会が開催され、同部会のスイッチOTCワーキンググループ(WG)が、「スイッチOTC審査の改善方法について」と題した資料を出し、スイッチOTCを円滑に進めるために申請等の緩和を提言した。以下資料の要旨。

現在、医療用医薬品として承認されているがOTCとしては初めて承認する成分 (スイッチ成分)については、承認申請に際して、その臨床試験結果の添付を要求している。しかし、スイッチ成分は、医療用医薬品として実臨床で長年使用され、適切に使用すれば、その有効性及び安全性は十分に確保されることが既に確認されているものであり、実際、要指導医薬品の区分が設定された平成26年6月以降に承認した新規スイッチOTC医薬品18品目の審査報告書を確認し、その審査に際して臨床試験結果等の活用状況を調査した結果は以下であった。

① 医療用医薬品の臨床試験結果の再解析を添付した事例(8品目)
a) 医療用医薬品の臨床試験にスイッチOTCが対象とする重症度又は年齢以外のデータが含まれている場合
b) 医療用医薬品の臨床試験にスイッチOTCの申請用法・用量以外のデータが含まれている場合
② 医療用医薬品の臨床試験結果をそのまま添付した事例(10品目)
③ 医療用医薬品の臨床試験結果以外の臨床試験結果を添付した事例(0品目)

同資料ではスイッチOTCの今後の審査の改善方策について、「約半数(10/18品目)では、医療用医薬品の臨床試験結果は当該医療用医薬品の承認申請資料が提出されているものであったが、その審査において、スイッチOTCとして使用される場合に想定される新たな知見は認められなかった。また、再解析を行った事例のうち、a)については、スイッチOTCの適用範囲(症状の程度や年齢)と比べて、医療用医薬品の適用が異なるデータが含まれる場合において、条件を合わせるために再解析されたものであった」とした。

その上で「『これらの解析結果』及び 『臨床試験は当該申請された効能又は効果、用法及び用量における有効性 ・安全性を確認する目的で実施されるものであること』を考慮すると、一定の範囲でのスイッチOTCに限っては、申請時の臨床試験結果の提出は必須ではないと考える」とした。

これらを踏まえWGとして、スイッチOTCの審査に必要となる申請資料の内容の見直しに関して、以下のとおり整理した。
〇スイッチOTCの申請において、①元となる医療用医薬品と生物学的同等性が確認されている場合であり、また、②元となる医療用医薬品と同一成分及び分量並びに剤形で、かつ、③効能又は効果が元となる医療用医薬品の承認事項の範囲内であり、各々の効能又は効果について用法及び用量が元となる医療用医薬品の承認事項と同一であるスイッチOTCについては、医療用医薬品の臨床試験結果の再解析やスイッチOTCとしての新たな臨床試験を行うことなく、また医療用医薬品の臨床試験結果に関する承認申請資料を提出することなく、スイッチOTCの申請を行えることとすべきである。

なお、スイッチOTCは、承認当初は要指導医薬品として、その後は一般用医薬品として、薬剤師その他の医薬関係者の確認・サポートの下、需要者の選択に基づき使用される点が医療用医薬品とは異なることから、そのような状況でも、安全かつ適切に使用できるかが課題となる。従来より、承認審査において、①薬局等での購入時に薬剤師から需要者へ行うスイッチOTC医薬品の確認事項・指導内容の充実性、②適正使用を確保するための方策の適切性の観点を含めた審査を行ってきたところであり、引き続き、この観点での審査を維持する。

〇さらに、「規制改革実施計画(令和6年6月21日)」(閣議決定)において、スイッチOTC化の承認申請から承認の可否判断までの総期間を1年以内に設定すると定められたことを確実に達成するためには、当局側及び申請企業側双方がそれに向けて努力を行う必要があるため、照会・回答に際して期限を設定する等、今後、詳細な標準的プロセスの検討を開始することとする。更に、業界側では、各企業が適切な申請を行えるようにするための申請ガイダンスを今後作成し、それに則した申請を実施するとともに、当局側では、PMDAにおいて、スイッチOTCに関してその妥当性等を申請前から申請企業が判断しやすくするように、新たな対面助言の枠組みを設置し、申請企業がその枠組みを十分活用することとする。なお、この両者の取組は、定期的にフォローアップし、改善方策を両者で協議することとする。

製造販売後調査の実施については、従来よりスイッチOTCの承認後には、製造販売後調査を実施し、調査結果に基づき副作用の発現状況に加えて、OTCの販売環境下における適正使用の状況についても評価を行い、情報提供資材の改良等、必要な措置を行ってきた。

引き続き、製造販売後の安全確保方策を実施するにあたり、製造販売後調査は重要であることには変わりないが、今後の調査に際しては、① 従来、製造販売後安全性調査における副作用頻度調査の調査予定症例数について、原則として内服薬は3,000例、外用薬は1,000例の収集を指導してきたところであるが、品目の特性に応じた、より適切な調査予定症例数の設定等や、② 調査方法について、従来のモニター店舗を介した方法に加え、例えばQRコードを利用した購入者からの直接回答等、電子化を含むより効率的・効果的な方法の追加について、検討を行い、所要の措置を講じることとする。