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【レポート】第24回JAPANドラッグストアショー2日目【8月31日】

薬学生!「オオタニ」!業界内外に向けたイベント盛りだくさんの2日目

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が開催した「第24回JAPANドラッグストアショー」の2日目レポートをお届けする。8月31日(土)は一般来場者も含め33,199人が会場に詰め掛けた。日本列島に台風10号の影響が残る中、昨年16,964人の倍となる。2日目は商談と一般来場者向けの双方を意識したコンテンツが多数用意され、ドラッグストアの可能性、また楽しみ方が披露された。特に、ドラッグストアにおける受診勧奨と薬剤師、医薬品登録販売者の機能、そしてこれからの薬学生への期待が色濃く表れた講演が注目を集めた。また、イベントステージでは男性の美を表彰する「第4回Men’s Beautyアワード」が開催され、メジャーリーガーの大谷翔平選手がビデオメッセージでショーに花を添え、ドラッグストア業界の存在感を示す日となった。(記事・写真=中西陽治)

受診勧奨セミナーで岸田学術顧問「登販が〝師〟たるためガイドラインの共有が必要」

(左より)荒木氏、水田氏、杉浦氏、木根氏、櫻井清委員長(丸大サクラヰ薬局)、岸田氏、田中浩幸JACDS事務総長

 「第24回JAPANドラッグストアショー」2日目は商談日に加え一般デーでもあることから、開場前から多くの来場者が詰めかけた。2日目に顕著だったのが「ドラッグストアの機能や可能性を内外に示す」講演やセミナーが多く繰り広げられたことだ。

 その一つが午前中に開催された「動き始めたドラッグストアにおける受診勧奨 その期待と課題」だ。JACDSの学術・調査研究委員会が主催し、JACDS加盟企業による受診勧奨ガイドラインを用いた医療機関との連携を報告した。「課題と先行取組事例の紹介」では、副委員長の杉浦伸哉氏(スギ薬局)より、受診勧奨の流れと課題の全体像が示された。

続いて委員会委員の荒木文明氏(マツキヨココカラ&カンパニー)より「受診勧奨ガイドライン対応スタッフの育成」、水田怜氏(新生堂薬局)より「OTC医薬品カウンセリングプラットフォーム『健康台帳』を用いた受診勧奨」、木根崇臣氏(ツルハホールディングス)より「クリニックと連携した受診勧奨の実証実験について」が報告された。

これらの報告を受け、学術顧問で医師の岸田直樹氏は「OTC医薬品販売を担う店頭の医薬品登録販売者は医療従事者であり、この受診勧奨ガイドラインの浸透を望む。それが医薬品登録販売〝師〟としての第一歩となる」と登販への期待を込め「そのためにはこの実例を広げ、店舗内・店舗間でカンファレンスを行ってほしい」とアドバイスを送った。

大谷翔平選手がJACDSに感謝のメッセージ寄せる

ショーにコメントを寄せた大谷翔平選手

 時を同じくして東3ホールのイベントステージでは「第4回Men’s Beautyアワード」が開催された。当アワードは健康で美意識の高いイメージのある男性著名人を表彰する賞で、各9賞、9名が受賞した。以下受賞者。

「セルフメディケーション部門」松井大輔さん(元サッカー日本代表)
「Beautyスキンケア部門」冨永章胤さん(モデル)
「Beautyミドル部門」武田修宏さん(元サッカー日本代表・タレント)
「Beautyライフスタイル部門」堺正章さん(俳優)
「大塚製薬株式会社 UL・OS賞」羽根田卓也さん(カヌー日本代表)
「花王株式会社 サクセス賞」田中史朗さん(元ラグビー日本代表)
「株式会社マンダム LUCIDO賞」川崎宗則さん(プロ野球選手)
「株式会社リップス LIPPS賞」中村輪夢さん(BMX日本代表)
「特別賞」大谷翔平さん(MLB選手)

特別賞を受賞したMLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手がビデオメッセージを寄せた。大谷選手は「会場のみなさま、ドラッグストア協会のみなさま、こんにちは大谷翔平です。この度は『Men’s Beautyアワード』特別賞をいただきありがとうございます。いつも応援してくださる全ての方々に心から感謝しています。ありがとうございました」とコメント。十数秒のメッセージながら国民的スターの登場に会場はどよめいた。

薬学生VS現役薬剤師クイズ大会はマツキヨココカラが優勝

 イベントステージでは午後から「プライドをかけた戦い!薬科大学生VS現役薬剤師 クイズ大会」が開催された。今回が第2回となるクイズ大会には、各薬科大学から、また現役薬剤師が所属するドラッグストア・薬局のスタッフが応援に駆け付け、白熱した闘いが繰り広げられた。特に昨年の優勝が帝京平成大学だったこともあり、現役薬剤師およびドラッグストア応援団はリベンジに燃えていた。

 クイズはまず薬科大学(城西大学、帝京大学、帝京平成大学、東京薬科大学、日本大学、日本薬科大学)による選抜が行われ、帝京大学と日本大学が決勝にコマを進めた。現役薬剤師は所属の企業(ウエルシア薬局、スギ薬局、ツルハHD、トモズ、マツキヨココカラ&㏇、龍生堂本店)を代表して選抜が行われ、スギ薬局とマツキヨココカラ&㏇の薬剤師が決勝に進んだ。

優勝したマツキヨココカラの現役薬剤師と(左)関部長

 クイズの内容は、薬学専門の薬効や併用禁忌はもちろん、「マイナ保険証の利用率は」(答え:7.73%)や「人口10万人当たりの薬剤師の数が多い都道府県は」(答え:徳島県)、「漢方・生薬の生産額が多い県は茨城県である」(答え:〇 シェア42.3%)といった、薬剤師を取り巻く社会の問題も織り交ぜたクイズが出題された。関颯伎氏(セキ薬品調剤本部本部長)が考案したひとひねりあるクイズに挑戦者はもちろん、観覧者も頭をひねりながら、隣の人と競い合っていた。

 最終問題「インターネットで販売できる劇薬がある」(答え:×)の回答結果により、マツキヨココカラ&㏇の現役薬剤師が第2代チャンピオンに輝いた。

 ドラッグストア・薬局に勤める現役薬剤師と薬科大学で薬剤師を目指す薬学生はお互いの健闘をたたえ合い、観覧者は薬の専門家の底力を感じるとともに、ドラッグストアの価値を再認識しているようだった。

ドラッグストア人事のホンネを薬学生が切り込むセミナー

 その流れを受けてか、午後のセミナーでは中小原健さん(東京薬科大学)を座長に「学生の知りたい!に答えます ドラッグストアの薬剤師の仕事と未来像」(主催:大木ヘルスケアホールディングス、企画:エニイクリエイティブ「MIL」編集部)が開催された。

「学生の知りたい!に答えます ドラッグストアの薬剤師の仕事と未来像」

 学生代表は、西川大貴さん(日本大学)、青木ひらりさん(慶応義塾大学)、米倉知乃さん(帝京平成大学)。学生からの疑問・質問に答えるのが、小俣智穂さん(スギ薬局)、篠崎信孝さん(マツキヨココカラ&㏇)、井出村泰明さん(クリエイトエス・ディー)のドラッグストア新進気鋭の採用担当の方々。

 セミナーは、ドラッグストア薬剤師の入社後の仕事はもとより、「なぜこの会社を選んだのか」という視点から、女性の妊娠出産・男性の転勤・昇進といった従業員のライフワークバランスへの質問に対応した。

 観覧者からは「薬学科にいるが、ドラッグストアに勤める良さを感じられた」「薬剤師としてのライフワークバランスの可能性を知った」「ドラッグストアも楽しそうだと思った」といった好意的な声が挙がった。

 受講前のインタビューでは「大学に6年行って、店頭で品出しする薬剤師にはなりたくない」といった忌憚ない声も聞かれた。しかしセミナー終了後に同じ人に聞いたところ「結局は自分(薬剤師)の目標次第なのだと感じた。ドラッグストアで伸ばせるキャリアは幅広く、セミナーを視聴して『ドラッグストアも面白いな』と思えた」と気持ちの変化を語ってくれた。不要論などが叫ばれる中、医療職であり小売業の専門家である薬剤師の可能性、ひとえに〝これからの薬剤師〟を示し、聴講者の心を打ったセミナーであった。

(左より)座長の中小原健さんとセミナーに登壇したみなさん

【編集後記】

 2日目は引き続きの商談目的と、新規の一般来場者が混然一体となった会場になった。時には「企業人だけれども一般来場者としてドラッグストア業界を見たい」というビジネスマンも散見された。それを象徴するかのように、薬科大学生と現役薬剤師のイベントは満員御礼となった。ショーとして2日目、商談目的の人にとっては消費者の動向を探るため、一般消費者にとっては夏休み最後の週末イベントとして、価値あるドラッグストアショーを知る機会にあふれた会場だった。事業主、バイヤー、団体関係者、一般消費者が混然一体となったショー会場はドラッグストアの機能と可能性を内外に示す格好の日となった。