香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントは3月6日(水)に財務省に向けて大量保有報告書(5%ルール報告書)を提出した。
報告書によると、オアシス・マネジメントが持つ調剤薬局チェーンのアインホールディングスの保有株券当の数(総数)は3,401,100株に上り、株券保有割合は9.6%となる。
アインホールディングス2023年4月時点での株主保有割合は、1位が日本マスタートラスト信託の9.71%(3,411,000株)、2位がアインHD社長の大谷喜一氏の9.22%(3,238,000株)、3位はセブン&アイグループの7.83%(2,750,000)で4位以下は北洋銀行やみずほ信託銀行といった銀行系が5~4%と続く。
昨年の株主状況と照らし合わせると、今回の大量保有株の開示で、オアシスはアインHDの2番目の大株主となることが明らかとなった。オアシスは株式取得に対し「株主価値を守るため重要提案行為を行うことがある」とコメント。
オアシス・マネジメントはドラッグストアチェーンのツルハHDやクスリのアオキHDの株主として、株主提案を行ってきた「モノ言う株主」だ。
両社への株主提案は、ドラッグチェーン運営における一族経営の問題点を指摘しており、ツルハHDに対してはイオンへの株売却により収束を迎えたが、一方でクスリのアオキHDには未だ火種が残る。
今回のオアシスによる大量保有報告は、「5%ルール」※に則った開示だが、ツルハHDの株をイオンに売却し、その両社にウエルシアを加えたイオン連合体が生まれた後、アインHDに照準を定めた格好となる。なお同日3月6日にオアシスは財務省に対し、ツルハHDの保有株を手放したことによる「変更報告書」も提出している。
上記のように、アインHDの大株主にはセブン&アイグループがおり、仮にオアシスが(ツルハHDの株をイオンに売却したように)セブン&アイに売却した場合、セブン&アイの保有株率は17.43%に到達し筆頭株主に浮上する可能性がある。
※上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する株主(大量保有者)は、原則として5%超を保有することになった日から5日以内に、内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出する義務がある。
(レポート:中西陽治)