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フェムテックのパイオニア「Femtech Fes!」第4回が開催

フェムテックは未だ〝氷山の一角〟 まだ見ぬニーズを探る

 「Femtech Fes!」(主催:Femtech Fes!実行委員会)が2月9日(金)~11日(日)にわたり、東京の六本木アカデミーヒルズで開催された。同フェスは、2019年に始まり、今回で4回目を迎える。25カ国5地域から200を超えるフェムテック領域のスタートアップ企業、国内外の企業・団体・行政機関が集い、会場は大きな熱気に包まれた。(取材=中西陽治)

 今を生きる女性のQOLを向上させるべく誕生したフェムテック市場だが、まだ言葉だけが先行している状況で、必要とされる需要の具体化はこれから始まる。

 フェムテックに関わるイベントとして先達である「Femtech Fes!」では、現在のフェムテックの選択肢は氷山の一角に過ぎず、埋もれたニーズの掘り起こしが急務と指摘する。

 そこで第4回となる今回は、フェスでは当たり前を疑い未来を見つめなおすきっかけとして「あなたのタブーがワクワクに変わる」と題した一歩先行くフェムテックを披露した。

 会場は2つのエリアで構成され、今回のキーモチーフとなる氷山をイメージし「氷山の一角(=すでに誕生している選択肢)、「海面の下(=まだ見ぬ新たな選択肢)」の体験を提供する。

斬新な日用品・化粧品・食品・サービスが一堂に

 「氷山の一角」にあたるエリア1(会場A、B、F)では、世界を切り開く氷山の一角として、すでに市場に現れている商品およびサービスや発売準備が進んでいるものが紹介された。フェスは即売会も行われ、サニタリーショーツやバナナの皮で作られたナプキン、月経カップといった生活必需品、機能性表示食品や青汁、女性の負担を軽減する食品群、さらにはデリケートゾーンのケアを訴えるトイレや、スリープテックと女性を組み合わせたベッドなど、フェムテックに抱く既存のイメージにとらわれない斬新なプロダクトが一堂に会した。

 各エリアを繋ぐ通路にもブースがあふれた。託児所が設けられ、女性用・男性用トイレには衛生関連のサンプルも配置。継ぎ目のない提案に多くの人が興味深くイノベーションに耳を傾け、ゆったりと会場を周っていた。

「フェムテック」に欠かせない海外情報を会場で発信

 会場に設けられたステージではトークセッションが開かれ、初日のビジネスデーには世界のフェムテック市場をリードする起業家やイノベーターが登壇し「グローバルフェムテック市場の現在地」「フェムテックビジネスの勝機、障壁」「日本におけるフェムテック市場の今」についてセッションが繰り広げられた。

同時通訳で海外情報を伝えるトークセッション

参加型ワークショップで気づきを提供

 「海面の下」にあたるエリア2(会場E)では、女性の潜在ニーズを満たす可能性を持った新たな商品およびサービスが紹介された。また国内外の女性を取り巻く環境変化や、生理・妊娠・出産・更年期に対する情報、世界中から集められた最新アイテムをトレンドワードとともに紹介し、ワクワクと発見を提供。フェムテックへ一歩を踏み出すきっかけを来場者参加型のワークショップで提供した。

 「フェムテック」がもたらす女性のQOLアップ効果は、経済的効果はもちろん、人手不足や少子高齢化、環境問題にもつながり、社会的課題解決に欠かせない分野だ。フェムケア市場に取り組むヘルスケア産業・ドラッグストア業界にとっても同フェスの取組は非常に参考になると同時に、情報発信の重要さに気づかされるフェスであった。